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トッカータとフーガ

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セーラさんに抱きかかえられながら涙目でシャアを睨んでる。
顎押さえてるシャアは放っておいて二人で子供にかかり切り。

「たんこぶできたんじゃ…。」
「冷やさなきゃ。」
「このまま部屋から離しましょう。」
「兄さん大人しくしていてよ。」
「あとで。」

子供が寝付くまで枕元にいて明日早いうちに出発する相談をまとめ
「兄さんと話すからアムロはもう寝ていいわよ。鍵かけてね。」
「お手柔らかに…。」
「まあ。もちろんよ。わたしは兄さんとは違いますからね。」

にこやかに言われる。そう?さわらぬ神に祟り無し。


朝に顔の傷が増えてたような気がするのは気の所為だろう。

「アムロ。こんなの放っておいていつでも来てね。」
「子守にですか?」
「遊びによ。」
につこり。お土産持たされて送りだされる。

その間サングラスをかけ憮然として喋らない上に大人しく少し離れてる。
なんだか知らないけど負けたんだな…。怖いから聞きたくないぞ。


そのまま大人しくコロニーに帰ってこっそり家にたどり着く。頼まれたお土産をシェフに渡すと
「すっかり元気になったみたいですね。」
「おかげさまで。」

「仕事明日からですか?」
「明日から行きたいとは思ってますが。」
まあ期待してない。

「好きなもの用意しておきます。」
何か言いたげで気になるが行けばわかるか。
「ありがとう。」



久しぶりに総統府に行くと…。正面ホールにでかい肖像画。
執務室に行くとこれ見よがしな写真の数々。
手のひらサイズの3Dまである。何事?

人の居無いところで締め上げる。
「なんなんだよ!これ。」
「新妻を亡くして悲嘆にくれる総帥の図。お陰で煩い爺さんどもを完璧に隔離したぞ。」

そう。お年寄りたちは相変わらず来てる。サロンが庭の別棟に変わっただけだ。
直接会う可能性が少なくなっただけ助かるけど一番性質の悪いのを排除しただけかあ。大山鳴動してなんとやら…。

「とりあえず暫く再婚がどうのとは言ってこないだろう。」
そう願いたい…。まるっきり時間とお金の無駄だなんてことになったら酷すぎる。

「その辺はあなたの演技力次第だろう。任せるよ。が。」
「ん?」
「あの肖像画は外せ。」
朝からあんなもん見たら力入らない!

「あそこにある間は仕事しないから。」
言い捨ててさっさと帰ってよく見たら家のあちこちにわざとらしく写真が飾ってある…。

「昨日はよく見なかったので気がつかなかった…。」
「そうじゃないかと思いました。」
「良いです…。あれはおれじゃないし…。」

「そうね。さあ、どうぞ。」
シェフが用意してくれた食事を自棄気味に頂いて先に休んだ。ふん。

絵を外してもらったら今度は
「愛人に言われて絵を外した。」
とか言う噂が立ったとか…。
くそ爺…。

仕方なくまた架けるのに眼を瞑る。
せめて一回り小さいのに変えてもらった。

気にしなきゃ良いんだ…。あれはおれじゃ無いし…。

実際既に仕事中はすっかり忘れてる。帰り際に見て思い出すのがいやなんだ。
疲れが倍増する…。



早くほとぼり醒めないかなあ。溜息。


2006/8
作品名:トッカータとフーガ 作家名:ぼの