夜を臨む
「もう、これ以上、俺はお前にかかわりたくない。用があるとき以外もう話しかけるな。ここが俺の家である以上、俺の言葉にはしたがってもらう。」
冷ややかな目をしたナルトはそれだけを言うと、頭に乗ったタオルを振り落とした。最初のころに見慣れたものとも違う、感情の読み取れないような不思議な顔をして、ナルトはシカマルの横を通り過ぎる。シカマルがナルトを引き留めようと伸ばした手を、ぴしゃりとナルトの手が打った。痛みの無いそれが、ナルトの感情を理解しきれていないシカマルには、ひどい拒絶のようなものに感じられた。
「ナルト、」
「俺の名前を呼ぶんじゃねぇ。」
確かに冷えた目つきのナルトはそのまま振り返りもせず家の中へと消えていった。小さくなっていく蛍光オレンジの背を眺めながら、シカマルは茫然とその場に座りこんでいた。