眩熱
「エドワード?」
訝しげな声に、自分が沈思していたことに気付き、その内容を悟られぬようエドワードは眉間に皺を寄せて一言「何でもねーよ」とうんざりした顔を繕った。
その作られた不機嫌さにホーエンハイムは小首を傾げて自分の顎鬚を撫でた。男の思案げな姿に、内心ひやりとする。長閑な風体をしながら時に鋭い男は油断ならない。
エドワードが緊張した面持ちで耐えていると、ホーエンハイムは真剣な眼差しでそっと声を低めた。
「抜こうか?」
「…は?」
頓狂な声が吐く。疑問符で返しながら、眉間に皴を寄せると、ホーエンハイムは自分の指で答えを指し示した。そこには膨らんだ前立て。間違いも無く自分の興奮に、エドワードは頬を引き攣らせた。
居た堪れなさと、男のデリカシーの無さに声も出ない。混沌に満ちた心の内で懊悩している息子の様子など構いもせず、ホーエンハイムは真っ赤に熟れた耳朶に、そっと唇を寄せた。
「ところで、どう感じた。気持ちが良かったか?」
吐息のように掠れた声は甘く、卑しい。
エドワードは羞恥と怒りに、迷わず男の頭に鉄拳を振り下ろした。