家族だから
<利吉の逆襲>
泣きまくってから寝付いたきり丸を横にして、解いた黒髪を撫でていた半助は、のしっと後ろからかかった重みに唇を綻ばせる。
「利吉君、どうしたんだい」
「家族だなぁって思ったんです。私には入れませんでした」
「そんなことないよ」
さらさらの黒髪を指ですきながら、半助は後ろの利吉に少し体重を預けた。
「きり丸は気が強いからね、人がいるところであんなふうに大泣きは絶対しない」
「……先生の前だからですよ」
「違うよ、君もいたからだよ」
言ってたじゃないか、と半助は微笑む。
「「先生や利吉さん」って。あの子の中で君と私に差はないよ」
「……」
ぎゅうと抱きしめられる力が強くなって、半助はははと笑う。
「子供にたしなめられてるようじゃあ私もまだまだだね」
「……」
「り、利吉君、ちょっと苦しいんだけど……」
すみません、と低い声が聞こえて、ぐるりと半助の身体が回る。
おわっ、などと言う間もなく、半助の唇はふさがれていた。
「んっ……ふ、ん……ちょっと、利吉君」
唇が離されて、いきなりの行為に半助は眉を顰める。
「……すみません」
ちょっと気まずそうに視線をそらした利吉は、半助の顎を押さえていた手で頬をなでる。
「さっきのキました」
「え!?」
「半助さん、そんな目するのは私ときり丸君だけですよ」
「え、なに、私何かした!?」
「しました、私の心を打ちぬきました、さすが火薬のプロです」
「なんだそれ!?」
「声、抑えないときり丸君起こしますよ」
「!?」
思いっきり床に縫いとめられて、気がついたら半ば脱がされている。
「いや、待て! きり丸の横は絶対だめだ!」
バタバタ暴れた半助を抱き上げ、利吉は足で襖を開く。
「じゃあ移動しますけど……我慢できなくなったら青姦ですよ」
「なに!?」
※青姦……ggr
***
利吉君の逆襲でした。
ギャグい。
でも彼は真面目です。