Home Sweet Home
カナダが差し出してきたものは、体温でちょっとしなってしまった4本の小さな花たち。
「おー、きれいだなー。じゃ塩水にさしてテーブルに活けよう。ありがとうな」
結局泥だらけになってしまったシャツを見れば、彼がどれだけ一生懸命この花たちを探していたのかわかる。はにかみがちに、でも嬉しそうにカナダが笑った。
「ご飯の前に、一回手と顔洗って、着替えてこいよ」
「はーい」
そう言ってとてとてと走り出す。もー、かなだもままもおそいからおなかぺこぺこなんだぞ!と、アメリカが腕を引っ張っていく。俺はその様子を目で追ってから、イギリスに視線を戻した。
「で、何でママまで汚れてるの」
「うるせえな!カナダにつきあってたら、つい…」
もちろんカナダに比べたら微々たるものなのだが、イギリスのいつもぱりっとしたスーツが少しよれっとなって、膝と裾に土がついている。よく見ると手もうっすら土まみれだ。
「よーく手を洗ってきてくださいね、ママ」
「わかってるよ!」
今日のご飯はイギリスの好きなものだからねー。そう耳元で囁けば真っ赤になるので、その頬にバードキス。
「…手、洗ってくる」
あら素直。と本日二度目の驚きを発しながら、イギリスを中に入るよう促して、俺はそっと玄関の扉を閉めた。
作品名:Home Sweet Home 作家名:統華@ついった