Memories of CGf
プロローグ
今、この世界は再び災厄に見舞われようとしている--
勇者候補としてこの世界に召喚されて数ヵ月。
喚ばれてはみたものの、実は勇者ではなかったと言われ、
さっさと城から放逐されてしまった。
勇者なんてものになりたいとは思っていたし、
そんな器でもないと思ったからほっとしたが、
しかし元の世界に帰れないと聞かされて途方にくれた。
深刻な問題である。
王国では今勇者候補を呼びまくっているらしく
同じ境遇の人間がとても多かったのは幸いだった。
それに宿には困らなかったから、野ざらしにならないですんだ。
勇者候補は冒険者ギルドが身元引受人になって
ファンブルグになじむことができるように援助してくれる。
宿もギルドに斡旋されたものだ。
僕の名はアベル。
勇者になれなかった薬売り。
それが、今の僕だ。
作品名:Memories of CGf 作家名:イハティーサ