三通の恋文
竜ヶ峰帝人さま。
手書きで手紙を書くのなんて久しぶりだから、文字が汚いとか、修正液がぼこぼこしているとか、いろいろ読みづらいかもしれないけど、まあ勘弁して。
と言っても、俺は君がこの手紙を読む可能性については、かなり絶望的な数字だと思っている。だって、君が、竜ヶ峰帝人が、折原臨也という差出人の手紙を手にして、気分がいいはずがないからね。俺は割と他人の行動とか思考パターンなんかを読むのが好きだし得意だけど、この手紙に関していうならば君がどんな思いで読むのかを、全く予想できない。
っていうかその前に、手紙の封を開ける君を、まず想像できない。
君の家のポストにこの手紙が入っていたとして、君はどうするか。まあまず、捨てるよね。それか燃やすか、ちぎって捨てるか、どこかにしまいこんで見なかったことにするか・・・配達されているところに出くわしたら、受け取り拒否っていう手もある気がする。とにかくそんな感じの想像しかできないんだ。
だから、君がこの手紙を読むことは、99%ないと思っている。けれども俺はあえて、残りの1%に賭けてみようと、こうしてペンを走らせているわけだ。
それがどんなにすごいことだか、君には分からないんだろうなあ。
とにかくこうして俺が手紙を書いている時点で、君への感情にはまだうまく整理が付けられないでいる。俺は君に何を期待しているのか、君の何に訴えたいのか、なぜ手紙など書こうと思ったのか・・・そういうものすべてに、俺は明確な答えを返せない。
すべての人間を平等に愛する、いや一人例外がいるけどあれは人間じゃないからいいや。とにかく、人間大好きな俺が、最近君に対してだけ、愛しているという言葉を言えなくて困っているんだ。
こんな風に書くと、へんなところは聡いくせに鈍感過ぎる一面も併せ持つ帝人君は、きっと悪い方に考えるんだろうなあ。言っておくけど嫌ってないから、そこのところは理解して。そうじゃなくて、感情がごちゃごちゃと君の方に向くから、どの気持ちを優先すべきか分からなくなる感じ・・・ああ、うん、自分で書いてて意味不明だけど、うまい表現が全然見つからないや。
おかしいかな、最近、君をさらってどこか遠いところへ行きたくなるよ。こんなにも人が好きで、人のあふれる都会が大好きな俺だけど、時々無性に君を、人の波の中に埋没させるのが悲しいと思うんだ。自分で書いてなんだけど、悲しいだなんて嘘臭いよね。俺は折原臨也なのにね。ほんと、調子狂う。
とにかくね、俺は君をどのポジションで俺の中に固定すればいいのかについて、すごく今悩んでいるんだ。分かんないだろうけど、いいの、これは俺が書きたくて書いてるだけだから。
君が俺に何を望んでいるのか、君が俺をどこに当てはめているのか、それがもっと明確に見えてくれば違うのかもしれないけど。でもさ、君は分かりやすいようですごく、部分的に分からなくなるところがあるから困ってるわけ。
俺達さ、相互理解が足りてない、と思わない?
こんなことを書いたら君はどうせ、理解したくなんかないですとか言うんだろうか。でもね帝人君、これだけは分かってて欲しいんだ。
俺は、君を理解したいよ。
君を知りたいと思ってるよ。
言いたいことはそれだけ。でも、口にしたら本質が伝わらない気がしたからさ。
久しぶりに手紙なんか書いたけどこれ、結構疲れるね。
じゃあ、また今度。
この手紙、読んでくれるといいんだけど。
折原臨也
手書きで手紙を書くのなんて久しぶりだから、文字が汚いとか、修正液がぼこぼこしているとか、いろいろ読みづらいかもしれないけど、まあ勘弁して。
と言っても、俺は君がこの手紙を読む可能性については、かなり絶望的な数字だと思っている。だって、君が、竜ヶ峰帝人が、折原臨也という差出人の手紙を手にして、気分がいいはずがないからね。俺は割と他人の行動とか思考パターンなんかを読むのが好きだし得意だけど、この手紙に関していうならば君がどんな思いで読むのかを、全く予想できない。
っていうかその前に、手紙の封を開ける君を、まず想像できない。
君の家のポストにこの手紙が入っていたとして、君はどうするか。まあまず、捨てるよね。それか燃やすか、ちぎって捨てるか、どこかにしまいこんで見なかったことにするか・・・配達されているところに出くわしたら、受け取り拒否っていう手もある気がする。とにかくそんな感じの想像しかできないんだ。
だから、君がこの手紙を読むことは、99%ないと思っている。けれども俺はあえて、残りの1%に賭けてみようと、こうしてペンを走らせているわけだ。
それがどんなにすごいことだか、君には分からないんだろうなあ。
とにかくこうして俺が手紙を書いている時点で、君への感情にはまだうまく整理が付けられないでいる。俺は君に何を期待しているのか、君の何に訴えたいのか、なぜ手紙など書こうと思ったのか・・・そういうものすべてに、俺は明確な答えを返せない。
すべての人間を平等に愛する、いや一人例外がいるけどあれは人間じゃないからいいや。とにかく、人間大好きな俺が、最近君に対してだけ、愛しているという言葉を言えなくて困っているんだ。
こんな風に書くと、へんなところは聡いくせに鈍感過ぎる一面も併せ持つ帝人君は、きっと悪い方に考えるんだろうなあ。言っておくけど嫌ってないから、そこのところは理解して。そうじゃなくて、感情がごちゃごちゃと君の方に向くから、どの気持ちを優先すべきか分からなくなる感じ・・・ああ、うん、自分で書いてて意味不明だけど、うまい表現が全然見つからないや。
おかしいかな、最近、君をさらってどこか遠いところへ行きたくなるよ。こんなにも人が好きで、人のあふれる都会が大好きな俺だけど、時々無性に君を、人の波の中に埋没させるのが悲しいと思うんだ。自分で書いてなんだけど、悲しいだなんて嘘臭いよね。俺は折原臨也なのにね。ほんと、調子狂う。
とにかくね、俺は君をどのポジションで俺の中に固定すればいいのかについて、すごく今悩んでいるんだ。分かんないだろうけど、いいの、これは俺が書きたくて書いてるだけだから。
君が俺に何を望んでいるのか、君が俺をどこに当てはめているのか、それがもっと明確に見えてくれば違うのかもしれないけど。でもさ、君は分かりやすいようですごく、部分的に分からなくなるところがあるから困ってるわけ。
俺達さ、相互理解が足りてない、と思わない?
こんなことを書いたら君はどうせ、理解したくなんかないですとか言うんだろうか。でもね帝人君、これだけは分かってて欲しいんだ。
俺は、君を理解したいよ。
君を知りたいと思ってるよ。
言いたいことはそれだけ。でも、口にしたら本質が伝わらない気がしたからさ。
久しぶりに手紙なんか書いたけどこれ、結構疲れるね。
じゃあ、また今度。
この手紙、読んでくれるといいんだけど。
折原臨也