本音か嘘か
もちろん顔はすまなそうなのだろう、利吉の好きな少し眉を下げた顔なのだろう。
けれどその心はきっと、何も感じていない声なのだ。
「おやすみなさい、土井先生」
それだけ返して、利吉は躊躇った挙句振り返る。
振り返っても、そこに半助の姿があるわけもない。
(先生、あなたは……)
一瞬だけだが利吉が感じた違和感、そうと思えばするりと見えた彼の心。
今は教師をしているとはいえ、忍である半助が易々とその手の内を見せるだろうか。
わざとなのか。
ぼろだったのか。
それを確かめないと、利吉は前にも後ろにも進めない。
(また、来ます。近々、必ず)
見えなくなった背中に誓って、利吉は今度こそ次の仕事先へと動き出す。
もう泣かない代わりに、次に会うまでに少しは考えよう。
わざとなら理由が。
ぼろならばその訳が。
きっとあるはずなのだから。
***
もちろんわざとです。
その理由に利吉は気がつけるか、次回こうご期待!!
※当家は利土井です。
※次回は未定です。
というか冒頭を書いたのが初期も初期なので、土井先生が暗いだけかもしれません。