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そらにおもう

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そらにおもう




苛ただしげに机を叩いている。威圧のつもりか?まどうでも良いけど…。

「アムロ大尉。本当に心当たりは無いと。」
「ありません。」興味もないし。

「明らかに大尉が狙われていますが。」
「良い腕でしたねえ。レンタカーだから弁償しなきゃいけないかなあ。」

「車は大破したのに怪我一つない。」
「怪我ぐらいしてます。」顔をかばって腕にかすり傷を負っている。

「そんなの怪我のうちに入るか。おかしいだろうが。」と机を叩いて怒鳴る。
逆切れかよ。死んでなきゃおかしいとでも言いたいのかな…。答えようのない事聞かれても困る。

じっと黙ってみてると目を逸らしそそくさと立ち上がり「部屋で待機してろ。」と出て行く。
何も逃げなくてもいいだろうに。人のこと化け物だと思ってるのかな。思ってるんだろうなあ…。噛み付きゃしないのに。


「どうぞ。ご案内します。」と促されてついてゆく。銃を向けられないだけましというものだろう。
普通の個室に案内される。ご丁寧に着替えが用意してある。ドアの外には歩兵が立つ。

窓は空かないがバストイレがあり簡易台所に冷蔵庫まあまあな待遇だな。文句を言っても始まらない。
明日あたり本部に移送か?狙われたほうが罪人扱い。暫く足止めか。こっちはさっさと済ませて帰りたいのになあ。
ベッドに横になり目を閉じる。

今更命がねらわれる?と言うのも変だと思うが新しいMSを作っているのがばれてるだろうからその線か?何でもばれてるなあ。
問題は何処から何処に洩れているんだろうと言うことだろうが調べる気があるのかどうか。最新情報とは言えどうせ筒抜けだろう。

使えるのがおれだけだから重要度が高くてもどれだけ守られてるかと言うと怪しい。早い話が厄介者だ。いれば便利いなきゃ安心。微妙だな。

アナハイムの後押しが無ければ新しいMSが許可されたとは思えないし。この時期に何のためにだろう。
そりゃ邪魔だろうけど。やっと組み立て始めてまだまだ動かしてもいないものを。

研究所の連中は新しいデータが取れると喜んでいるようだが今ある機械では碌なデータも取れないだろう。サイコフレームのデータは普通の脳波測定では計りきれないと思う。あれは何か別のものだ。わざわざ教えてやる気は無いが。

おれが大人しく検査に協力してるのは見返りに知りたい情報があるからだが今回のように見張られてては調べようが無いな。
折角本部にいけるのに。おれの知りたい情報は軍本部にあるはず。

あの時データコピーしとけば良かったんだろうけどそれどころじゃなかったし。結局クローンを何体作って何対残っているのかわからない。
カラバの協力を得ても一人しか見つけられなかった。後何人生かされているのか。何処に隠してるんだか。

こんな状況では生きてる内にかたつけられそうも無いか。もう時間余り取れないしなあ。
見つけ出しても出来ることは余り無い。見届けなければいけないと思ってるだけだ。正直こんな事で足止め食らうのは…。

うだうだ考えても仕方ないか…。折角だからゆっくり寝よう。休暇だとでも思わないとやってらんない。



非常灯の明かりを頼りに少しずつ進む…。薬が残ってて動きが鈍い。だんだん耐性がついてきて動けるようになったとは言え外へ出てもすぐ連れ戻される。

それより確かめたいことがあったので地下に向う。眠らされてるとは言え枕元で交わされる会話が途切れ途切れ聞こえ断片を組み立てると確かめない訳にいかない…。
隠し事は地下にある。そういうものだろう。

自分が実験のために物扱いされてるのは知っていたが殺すわけにいかないからと代用品を作っていたとは思いもしなかった…。
オリジナルがいればいくらでも作れる。違いもまた研究対象だ…。何のためにそこまでするんだろう…。

ボーつと考えながらゆっくり動く。たどり着けるかどうか気になるが進むしかない。

場所もわからないがドアが目に付く。何も考えないでノブを回して押してみる。わざとだったのかも知れない…ドアが開いた。

大小のガラスに入れられた内臓や神経。あまりの数に氷ついた…。それでも近づいて確かめずにいられない。

体の震えが止まらない。書かれてる字が良く見えない。まだ動かされれる部分もある…。
一番大きなケースに近づくと脳と神経系統だけだ…酸素を供給されてる。衝撃が背筋を伸ばした。

ああそうか…もう死んでるんだ。アムロ・レイなんてどこにもい無いんだ。そう感じた。

次の瞬間には近くにあった何かを掴んで手当たり次第叩き壊し始めた。どのくらいたったのかわからない。肩で息をして目がかすむ。
暫くしてからショートを起こして火をつけた。自分の荒い呼吸しか聞こえない。

火が広がり始めて煙が充満した。何も考えられなかったがそこにはいられない…。
死ぬことよりもただ動かざるおえなかった。自分がバラバラになって砕け散ったようだった…。苦しい…。

なぜ生きてるんだろう…。本当に生きてるんだろうか…。


はっと目が覚める。頭が重い…。なんて夢だ。碌でもない…。人の悪意にさらされると思い出すのか。気持ち悪い。

意味も無く煙草が吸いたい。まだ空けやらぬなか膝を抱えて蹲ってしまう。まるであの頃に戻ったかのように。


気分はどん底。食欲も無い。取り繕う気も無いので不機嫌のまま椅子に座ってる。

「何度聞かれても心当たりはありません。」どこから情報漏れたかなんて知ったことか。
「それにしては顔色が悪い。」

「夢見が悪くて寝れなかっただけです。」
「なぜです。」

「さあ?落ち着いたら改めて怖くなったのかもしれません。」つらっと答える。
「誰だって死ぬのは怖いでしょう。」

「そうは見えませんが。」何言っても裏を考えるか。笑うしかないな。
目を逸らすのも癪なので無言でじっと見る。暫くしたらまた出て行った。今日のおれは怖いかもしれないな…。

誰も残らず一人で外から鍵をかけられる。おれは隔離か?水あるから良いけど。缶詰状態なので本来の目的である検査は何もしていない。
わざわざ来たのに…。向こうは向こうで上層部に文句言ってるらしいがこの調子では無理だろう。このまま本部に移送か。面倒くさい。

着替え無いし。レンタカーの始末は誰かしてくれるのかな…。もうあの会社から借りれないな…。もう来ることも無いだろうからいいか。


一人で残されてボーつと空を見る。青くて高い空だ。あのあと錯乱してて余り記憶が無い。
暫く寝たままでもう少しで生きたまま解剖される所だったらしい。

目を覚ましてもからだが麻痺してリハビリが大変だったし感情や感覚が戻ってくるのに時間がかかった。

研究所から病院に移されて自由に動けないのは同じでも空は良く見えた。毎日飽きもせず見てたな。
地上にいようが宇宙にいようが生きてる限り自由になることは無い。必ず監視される。

だが一度死んだようなものだ怖いものなど無い…。時間をかけてゆっくり体と心を練り直した。せざるおえなかった…。
何時死んでもよかったが死ぬまで動こうと思った。動けるようにしようと…。

どこに行くのかも分からなかったがどこかに行こうと思った。とは言っても時々自分の中の虚に飲み込まれそうになる。
作品名:そらにおもう 作家名:ぼの