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銀魂/ログまとめ/万事屋

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【梅雨の色】



 重い雨戸を開けながら曇った空を見上げた新八の目の端に白いものが入った。さらさらと音を立てて降る雨の庭に白い紫陽花が静かにたたずんでいる。雨戸を引く手を止めて、今年もちゃんと咲いたかと、新八はぼんやりその花を見つめた。
 たしか柏紫陽花という名だったか。葉が柏に似ているからだと聞いた気がする。
 よく見かける丸い形の紫陽花ではなく、房のような縦に長いその紫陽花を選んだのは姉の妙だった。一昨年、二人で植えたのをよく覚えている。
 新八は止まっていた手を動かして、雨戸を全部あけた。湿った空気が肌をなぞる。じめじめとした嫌な季節だが、花のおかげで今日はいい朝のように思えてきた。
 妙を起こして見せたあと、何房か手折って万事屋に持っていこうか。
 興味がなさそうに見つめる銀時と、その横で珍しい花に目を大きくして笑う彼女が脳裏に浮かぶ。彼女の桃色の髪は花の白に映えてとても美しいことだろう。
 庭の白いかたまりが微かに揺れるのを見つめて、新八はふっと微笑んだ。




作品名:銀魂/ログまとめ/万事屋 作家名:ume