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銀新/気まずい二人乗り/銀魂

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 今日一日のおさとのことを思い出しながら、くすくす笑って銀時の後ろに乗り込む。銀時の体につかまると、エンジンがうなる音がしてゆっくりとバイクは進みだした。
 行きに来た道を帰っていく。西日がまぶしい。進む先の空に赤くなった夕日が浮かんでいた。
「おさとさんの話ですけど、おもしろいジンクスがあるんですね。集英橋って朝、僕らも通ってきた橋ですよね。あそこで餌あげてたカップル、ジンクス知らなかったのかな」
「どこいっても別れる奴らは別れんだよ」
「まあ、そうですね」
「今日は天気良かったから夕焼けもキレイだろうな」
「そうですねー。運がよければ富士山も見えるかもしれないですね」
 行きに橋の上で話したことを新八は思い出す。
 夕日を見るにはちょうどいい時間に出られたかもしれない。もしかしたら、急に帰ると言い出した銀時はこのことを考えていたのだろうか。できることなら女の子と一緒に夕日を見たいが、女に縁のない自分には無理な話だと新八は心の中で笑う。
 新八は正面に見えてきた集英橋の鉄骨を眺めながら、もらった最中を食べずにもらってくればよかったと思った。もうこんな時間だし鳥はいないだろうか。
 銀時の原付が橋に入ると、一気に視界がひらけた。
 目の前に広がる赤い空とビルの群れに新八は息を飲んだ。ひときわ大きくそびえるターミナルに、燃えるような太陽がさしかかっていた。
 ああ、早くバイクをとめてゆっくり見たい。
 ジンクスのせいか誰もいない広場は特等席のように見えた。近づいてくる広場に胸を躍らせて、いつでも下りられるよう心の準備をする。
 だが、橋の中央に近づいてもバイクの速度は落ちなかった。そして、新八が不審に思っているうちに広場を通り過ぎる。
 え? え? と思いながら、離れていく広場を目で追った。
 どうしてだろうか。夕日の話もしたし、てっきり朝に話したことを覚えていると思っていたのだが、広場のことを銀時はすっかり忘れているのだろうか。
 何故だと考えて、新八の頭にふと、おさとの言葉が浮かんだ。
――集英橋の広場で夕日を見たら別れる。
 浮かんだ考えに新八は苦笑する。
 いや、だって、男二人だし。別れるも何も、付き合ってないし。
 新八の鼓動が激しくなる。
 続けて、笑いながら好きだといった銀時が脳裏に浮かぶ。
 まさか。いや、まさか。
 銀時の横顔を見上げる。銀時は正面を向いたまま、何も言わない。
「…………」
「…………」
 銀時は何言わない。新八も何も言えなくなった。
 熱がのぼりはじめた頬を隠すように、新八はうつむいた。
 夕日がとてもきれいなのに、新八は顔を上げられなかった。家に着くまで、顔を上げられなかった。