デジキャラット・シンフォニー 3
「デジキャラット・シンフォニー 3」
―有楽町の乙女たち―
「―陽明学の世の中−」
1、愛知万博の思い出
でじこはアキハバラのゲーマーズの店内で一人思いをはせながらビデオを見ていた。
「久弥さん・・・」
そこには愛知万博のグランドフィナーレでみんなで一緒に手をつないだでじこたちの姿が移っていた。
「平田先生・・・久弥さん・・・どうしてでじこを置いていってしまったのかにょ・・・」
「まだ夢は終わっていないわ」
でじこが振り向くと、そこには平田先生の姪で元・宝塚歌劇団娘役トップスター、平田美香の姿があった。
「伯父上と久弥さんが残した夢は愛知万博で終わりじゃないわ」
「美香さん・・・」
「上本町へ行くわよ・・・」
「何かあるのかにょ?」
美香の伯父ででじこの師でもあった元東大教授・平田道明の銅像は愛知万博の期間中万博の「わんぱく広場」に飾られていた。万博終了後に銅像は上本町駅南側の広場に移されることになったのである。
2日後、でじこは美香と一緒に上本町駅にいた。
愛知万博会場から移された平田先生の銅像の除幕式に来ていたのである。
万博終了後銅像は各地から移転希望があったが、結局愛知に残したいと言う意見と南十字星の伝説で町おこしを図る大阪の意見の間で綱引きとなり、最後には美香の裁定で上本町に移されたのである。
「まるででじこに話しかけてくるようだにょ」
でじこの頭の中には今は亡き平田先生の声が聞こえてきた。
それは西九条―難波間のトンネルが貫通した時だった。
亡き平田先生は西九条から難波まで阪神電車の線路を伸ばして難波で近鉄と接続する計画を提唱した。
平田先生は会う人ごとに「今に名古屋から三宮まで列車に乗ったままいけるようになるぞ」「一緒に三宮まで連れて行くぞ」と繰言をしていたと言う。
ところがトンネル貫通前に平田先生が亡くなってしまったのだ。
千代崎でのトンネル貫通式には、難波側には久弥さんが、西九条側には美香さんがそれぞれ平田先生の遺影を胸に最後の発破を見守った。
最後の発破の瞬間、人々は一斉に歓声を上げた。
その時、参列していたでじこたちにも平田先生の声が聞こえたと言う。
「おい、みんな、三宮へ行くぞ!」
このトンネルさえ開通すれば上本町や名古屋から神戸三宮までが一本のレールで結ばれるため平田先生はトンネルを通って三宮へ行くことを楽しみにしていた。
―有楽町の乙女たち―
「―陽明学の世の中−」
1、愛知万博の思い出
でじこはアキハバラのゲーマーズの店内で一人思いをはせながらビデオを見ていた。
「久弥さん・・・」
そこには愛知万博のグランドフィナーレでみんなで一緒に手をつないだでじこたちの姿が移っていた。
「平田先生・・・久弥さん・・・どうしてでじこを置いていってしまったのかにょ・・・」
「まだ夢は終わっていないわ」
でじこが振り向くと、そこには平田先生の姪で元・宝塚歌劇団娘役トップスター、平田美香の姿があった。
「伯父上と久弥さんが残した夢は愛知万博で終わりじゃないわ」
「美香さん・・・」
「上本町へ行くわよ・・・」
「何かあるのかにょ?」
美香の伯父ででじこの師でもあった元東大教授・平田道明の銅像は愛知万博の期間中万博の「わんぱく広場」に飾られていた。万博終了後に銅像は上本町駅南側の広場に移されることになったのである。
2日後、でじこは美香と一緒に上本町駅にいた。
愛知万博会場から移された平田先生の銅像の除幕式に来ていたのである。
万博終了後銅像は各地から移転希望があったが、結局愛知に残したいと言う意見と南十字星の伝説で町おこしを図る大阪の意見の間で綱引きとなり、最後には美香の裁定で上本町に移されたのである。
「まるででじこに話しかけてくるようだにょ」
でじこの頭の中には今は亡き平田先生の声が聞こえてきた。
それは西九条―難波間のトンネルが貫通した時だった。
亡き平田先生は西九条から難波まで阪神電車の線路を伸ばして難波で近鉄と接続する計画を提唱した。
平田先生は会う人ごとに「今に名古屋から三宮まで列車に乗ったままいけるようになるぞ」「一緒に三宮まで連れて行くぞ」と繰言をしていたと言う。
ところがトンネル貫通前に平田先生が亡くなってしまったのだ。
千代崎でのトンネル貫通式には、難波側には久弥さんが、西九条側には美香さんがそれぞれ平田先生の遺影を胸に最後の発破を見守った。
最後の発破の瞬間、人々は一斉に歓声を上げた。
その時、参列していたでじこたちにも平田先生の声が聞こえたと言う。
「おい、みんな、三宮へ行くぞ!」
このトンネルさえ開通すれば上本町や名古屋から神戸三宮までが一本のレールで結ばれるため平田先生はトンネルを通って三宮へ行くことを楽しみにしていた。
作品名:デジキャラット・シンフォニー 3 作家名:細川智仁