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【テニプリ】ヒカリノサキ

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ずっと、甘えてきた。その背中を追っていけばいいのだと思っていた。それは簡単で自分にとって、先の見える楽な道だった。その道を進むのを自分は止めよう。それは、自分の進むべき道じゃない。手塚が自分で歩いてきた作ってきた道だ。
「今までありがとう。…言葉に出来ないほど、感謝してる。あなたがいなかったら、オレはここにはいなかったから」
そう、あのとき、手塚が見せた光のさき。あの光の中へ自分も行きたい、その先を見たい。…思わせてくれたのは手塚だった。

「本当に、ありがとう」

リョーマは言葉を重ねた。その言葉に被せるように手塚の柔らかな声が重なる。
『…礼を言うのは俺の方だ』
「…え?」
『…お前がいなければ、俺はプロになることを諦めてた。お前がいたから、頑張れたんだ』
「…国光さん」
『リョーマ、有難う』
「…何か、照れくさいよ。そんなこと言われると…」
『…そうか?』
「うん」
柔らかな沈黙。何だか、胸が熱くなる。リョーマは目蓋が熱くなるのを感じながら、顎を引き上げた。
「…国光さん、オレ、勝つから」
『ああ。お前なら、大丈夫だ。勝って来い』
「…うん。…だから、」
『何だ?』
「…勝ったら、会いにいってもいい?」
『…ああ。…なら、今は会わずに帰った方がいいな』
「…え?」
手塚の言葉にリョーマは目を開く。
「どういう…?」
『実は、お前の控え室のドアの前にいる』
リョーマは携帯を握り締めたまま、背後を振り返った。
「…うそ」
『嘘ではない。お前の試合を見に来た』
「ホントに」
『ああ。…でも、今は帰る。お前が試合に勝てたら、また来る』
「約束だよ」
『約束だ』
ドアを隔てた向こうにあのひとがいる。リョーマは想いを込めてその先を見つめる。
『…じゃあ、また、後で』
「うん。また後で」
通話が静かに切れて、遠ざかっていく足音を耳にリョーマは目を閉じる。





「…今度はオレが、あなたを連れていくから…」





 あなたがあの日、オレに見せてくれた眩しい光のさきに。







オワリ