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それも、一つの可能性。

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一体全体どうしてこうなったのだろう、とかなり熱めの湯に浸かりながら鬼道は思考を巡らせた。
熱い蒸気で満ちた室内は無音ではない。ボイラーが火を炊いている音がひっきりなしに聞こえてくるし、誰かが動けば水の音がする。だがそこに会話は無く、微妙な距離感を保ち続けている彼と鬼道の間にはどうも妙な空気が流れていた。室内の湿気に紛れて感じるのは「気まずい雰囲気」というやつだった。
 鬼道はちらりと隣の人物を見る。いつも頭の天辺で括っている髪は湯船に浸からないよう、団子状態にしていて幼い頃妹が同じ髪型にしていたのを思い出して何とも言えないくすぐったいようなものを感じた。
 鬼道はなぜか風丸と、よりによって銭湯で二人っきりになっていた。

 一体全体どうしてこうなったのかを考え、理由を一つ一つ洗っていけば今の状況が差ほどおかしくもない事実である事に気付く。
 まず、銭湯に来たのはたまには部内で親交を深めようという、もっともな理由をつけた円堂の気まぐれからだった。
そして全員が了承し、鬼道も銭湯というものを体験した事が無かったので良い機会だと思い参加した。
中学生が大人数で行くのは迷惑だろうと言う事で開店直後の16時辺りを狙った。
円堂始め一年などは銭湯に着くなりはしゃぎながら湯船に浸かろうとし、風丸にどやされる。だが、他に客が居ないのをいい事にガマン比べをするなど大はしゃぎを見せた。
そのせいか円堂らはのぼせあがりすぐにギブアップと根を上げ、言いだしっぺがとっとと風呂から上がった。
豪炎寺ら他の二年も汗を流した後湯に浸かるのはそこそこに上がってしまった。銭湯の湯は高めなので長湯は出来ないのだ。
長髪の風丸と人より手入れがややこしい髪を持つ鬼道は、湯に浸かる前の洗浄に時間がかかった為他の者に遅れをとってしまった。(ちなみに、風丸より長髪の影野はこうなる事を見据えていたのか髪は家で洗う事にしていた)
先に上がるというチームメイトらに焦りつつも、自分が終わるまで待って欲しいなど女々しい事は言えず二人とも言われるがまま見送るしか出来なかった。

そして、今に至る。