ターンワルツ
アーサーの屈折した性格上、面と向かって甘い告白にも似た過褒のセリフを紡がれる日が来るなんて一生無いだろうと高を括っていたのに、彼の中にある天邪鬼な気質を自ら挑発して呼び起こしてしまったことを心の底から後悔するとともに、パーティーなんて死んでもいくものかと再び硬く決心をした。
――――愛してるぜ。アルフレッド。
口付けを受ける前に、耳元で囁かれた台詞。
誰がどう聞いても間違いなく決定的な、愛の告白。
こんなもの、もう二度と耳に入れたくは無い。心臓に悪すぎる。
ドクドクと暴れている鼓動は、まだ暫くやむ気配を見せそうになかった。
不本意だけど、暫くはとても顔を上げられそうにない。アーサーの胸の中に顔を埋めたまま、アルフレッドは兄から貰った慣れない褒め言葉の洪水に本能が喜び、身体が打ち震えそうになるのを必死に堪えていた。