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王子様を手に入れる方法03

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「バッキーはこれに乗って帰りなよ。僕は、ちょっと行かなきゃいけないところがあるから」
「えっ」

今日はしないんですか、と言いかけてやめる。さすがにそんなあからさまな事を、こんな往来で聞けそうもない。けれど名残惜しくて、思わず見つめていると、ジーノの手が伸びて、椿の頭をくしゃりとなでた。

「やだなぁ、そんなもの欲しそうな顔しないでよ」

頬を染め、思わず顔に手をやる。今、一体自分はどんな表情をしているのだろう。

「たまにはこんな日があってもいいでしょ?」

そう笑ったジーノの顔は少し切なそうに見えた。

タクシーに乗ってからも最後に見たジーノの表情が椿の頭をめぐった。今日のデートの意味を考え、浮かんだそれに首をぶんぶんと振る。
期待するな、期待するなと言い聞かせるほど、彼の顔がよぎった。