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カイトとマスターの日常小話

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目の前のタオル掛けからそれを手にした、カイトが振り返る。俺はコンディショナーで塗るんだ手を濯いで、手桶に湯船の湯を掬った。
「それをこれに浸して」
「あい。こうれすか?」
「そう。それに、石鹸を擦り付けて」
「あわがいっぱい」
「おう。それで食器を洗う要領で身体を洗え」
「…しょっき…」
カイトが何か言いたげな顔をしたが無視して、やれと促すとカイトは腕からわしゃわしゃと洗い始めた。
「…ますたー」
「何だ?」
「せなか、とどかないれす」
「……貸せ」
カイトの手から泡まみれのそれを受け取り、背中を擦ってやる。…よし、これで完了。後は、流すだけだな。
「カイト」
「あい」
「目を閉じてろ。泡、流すぞ」
シャワーで髪の塗るみを落として、肩、腕、背中と泡を落とす。…きれいになったな。結果に満足してカイトの肩を叩く。
「終わったぞ」
「ふぇ?」
カイトが顔を上げた。
「先に上がるか?」
「ますたーは?」
「俺は今から、自分をやる。湯船に浸かってみるか?」
「……つかってみまふ」
「おう。熱かったら、水、入れていいからな」
「あい」
カイトは腰を上げるとぎこちなく、湯船に指先を浸した。そして、大丈夫だと判断したのか、そろそろと足先を湯船に沈ませた。
「…っ、ますたっ」
やっぱり怖いらしい、足を慌てて引っ込めたカイトが俺を見上げてくる。
「大丈夫だ。慣れるまで、そこに座って足だけ付けとけ」
「…あい」
カイトは湯船のへりに腰を下ろして、そろりと足先を付けじわじわと沈めていく。それを横目に見やり、自分のことをする。…今日は会議室に缶詰でにされて、服も自分もかなり煙草臭い。俺自身喫煙しないので、今日はかなりきつかった。…頭を洗って、身体を流す。それをじっとカイトが見ている。何か、身の置き所がない。
「何だよ?」
そう訊くと、カイトは少し首を傾けた。
「ますたー、背中、洗います?」
恐怖が薄れたのか言葉がしっかりしたきたな。
「気持ちだけもらっとく。もう、終わった」
それにカイトは残念そうな顔をした。…何だか、調子狂う。ざっとシャワーで泡を流して、フローラルな香りが漂う乳白色の湯船に浸かる。…俺は入浴剤を入れて入る風呂が好きだ。お陰で風呂場の棚には色々と揃っている。ちなみに今日の入浴剤はエモ○カだ。
「…ふう」
漏れた吐息にカイトが不思議そうな顔をする。
「…ますたーー、リラックスしてる」
「風呂はそういうとこなんだよ」
「…気持ちいいですか?」
「いい」
「…僕にはよく解らないです」
「そのうち、解るようになるだろ。嫌じゃなかったら、浸かってみろ」
オレの言葉にカイトはうーんと眉を寄せて、それから恐る恐る、湯船に身を沈め始めた。
「っ、ますたっ、お湯がっ!」
ざばぁっと溢れるのに驚いたのか、カイトの身体が固まる。いちいち、面白いと言うか、面倒臭いと言うか…。
「気にしないで、さっさと浸かれ」
「…あい」
ざぷー。肩まで浸かったカイトは一瞬、身を竦めたが、ゆっくりと弛緩した。
「あったかいだろ」
「…でもオーバーヒートしそう…」
「そうなる前には上がれよ」
俄かに浴槽内が狭くなる。まあ、男ふたり浸かってりゃ、当たり前か。
「…マスター、」
「ん?」
「お風呂から出たら、アイス食べてもいいですか?」
「一個だけな」
「わーい!」
ったく、コイツはどこまでお子様だ。まあ、そこが可愛く思えなくも無いけどな。




 流石にカイトがのぼせて来たので、短めに風呂を出て、カイトの頭を拭いてやる。…コイツ、濡れたまま服を着ようとしやがった。…溜息が漏れそうだ。
「…ん?」
先は気付かなかったが、カイトの左耳の付け根に小さなバーコードがある。
「カイト、コレ、何だ?」
そのバーコード部分を指で触れると、気持ちよさそうに目を細めていたカイトが口を開いた。
「識別コードです。このコードを読み取ると、僕がいつどこで、作られたか解るんですよ」
「へぇ…。ここ、ちょっとしこりみたいなのあるが、虫にでも食われたか?」
「それ、プラグの挿入口です」
「…プラグ…」
「僕とパソコンをLANケーブルで繋いで貰えれば、パソコンから打ち込み出来るようになりますよ」
何だか、言ってることがSFだ。…と言うか、本当にひとじゃないんだな…と思うが、カイトは今や俺にとっては家族も同然なので、そんな違和感を覚えるようなことをやるつもりはないし、ロボット扱いする気も無い。だから、今後も飯を食え、夜になったらベッドに入れ、それから風呂に入れと口煩く言うつもりだ。
「面倒臭いからやらん。お前、馬鹿だからすぐウィルス感染しそうだし」
「馬鹿って、ひどい!!」
カイトが喚く。これのどこがロボットだ。そうは絶対思えない。
「酷くない。…おお、小綺麗になった」
僅かに湿り気が残るもののカイトの髪はさらさらになり、煮付けの匂いは失せ、石鹸の香りがする。
「きれいになりました?」
喚いてたカイトがころりと態度を変えて訊いてくる。
「なったなった」
わしゃわしゃ頭を撫でてやると、カイトが抱きついてきた。
「いきなり、何だ?」
「きれいになったら、抱きついてもいいんですよね?」
言ったけどな。何で、狭い脱衣所で抱きつかれないといけないのかね?
「マスター、石鹸のいい匂いがします」
「お前からもすると思うけど」
「じゃあ、マスターとお揃いですね」
「そうだな」
…カイトを風呂に入れたら体力消耗した。…空き過ぎな腹が減ったから、飯にしたいと思います。

カイトを引っ付けたまま、俺は本日の夕食、カレイの煮付けにありついた。




オワリ