カイトとマスターの日常小話
死んでもいいと思えるくらいに美味しい。キャラメルマキアートとサンフランシスコチョコの組み合わせはほっぺが落ちそうな感じに最高だ。
「…お前、顔、にやけてるぞ」
ケーキの苺をフォークで刺したマスターが言う。
「だって、美味しいんですよ〜。…あ、マスターも一口、どうぞ」
美味しい部分をひと掬い。マスターの前に差し出す。マスターは差し出されたそれを口に含む。
「…チョコレートとキャラメル…芋の味がする…」
「紅芋が入ってるんですよ。初めて食べましたけど、美味しいですね」
「…最近は色んなフレーバーがあるからな。…カイト、あーん」
言われるがままに口を開ける僕にマスターは警戒心が足りないと笑いながら、生クリームのたっぷりついたいちごを放り込んだ。
「…あむっ」
いちごの甘酸っぱさが生クリームの濃厚な甘さに溶ける。…美味しい。
「美味しいです」
「そーか。カイト、」
不意に延びてきた指先が唇を撫でる。それに驚いて一瞬、身を固くする。
「クリームついてた」
指についたそれを舐めるマスター。…何か、いつも子ども扱いだなぁ。…まあ、嫌じゃないからいいけど、たまには僕がマスターにそうしてみたいな。
「おい、カイト、早く食わないと溶けるぞ」
「あ?! …ああ…!!…もう溶けてる…」
…アイスがメルト…。溶けたアイスに涙目になる僕をマスターが笑う。ううっ、マスターのばかぁ。
僕とマスターの聖夜はゆっくりと過ぎていった。
そして、翌朝、枕元に置いてあったプレゼントに僕が大喜びするのは、別のお話。
Merry Christmas spent with you
作品名:カイトとマスターの日常小話 作家名:冬故