カイトとマスターの日常小話
「…むう、カイトのクセに…。……卵、いれろよ。入れないと食わないからな」
「解りました」
勝った!…僕がにっこり、笑うと、マスターはむうと眉を寄せ、新聞へと視線を落としてしまった。僕はエプロンを着け、キッチンへと入る。
「…ありがとな。…歌ってくれただろ…あれ、良かったぞ…」
小さく聞こえてきたマスターの言葉。その言葉に僕の胸がいっぱいになる。
はじめて、マスターが僕の歌を褒めてくれた。嬉しい。
あなたのために、歌いたい。
あなたのためだけに、歌う。
僕は、いつまでも。
オワリ
作品名:カイトとマスターの日常小話 作家名:冬故