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○○トーク!

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「○○トーク!」









「ホンマか〜?それ、作り話してるんとちゃうん?」
「そんなことないよ」

 一際甲高く騒がしい声と、それに続く穏やかな声。
 練習の休憩中、水飲み場付近を通りかかった豪炎寺の耳に普段あまり聞かない組み合わせの声が響き、その足を止めさせた。

「あれ、豪炎寺くん。君もここで休憩?」
「おー!お疲れ!」
「何や豪炎寺〜!気ぃ利かせてダーリンも連れて来てくれたら良かったのに!」

 大きな木の真下。
 水に濡らしたタオルを頬や額にあてながら、吹雪、塔子、リカの3人が休んでいるところのようだ。
 同じようにタオルを水に濡らすためやってきた豪炎寺は、『あぁ。お疲れ』とだけ答えて水道の方へ歩き出してしまう。
 これにはリカが黙っていない。

「ちょっとちょっと!それだけか!?アンタホンマに愛想ないなぁ!」
「まぁ…それが豪炎寺だからな」
「ふふっそうだね…ここで僕達の雑談に率先して加わるような豪炎寺くんは僕も見たく無いなぁ」

 …随分な言われようである。

「そうか」
「あぁ、そうや。…ってちょっと待ち!もう何なんコイツ!これだから関東人はアカンねん!!!…あ。ダーリンは別やけどなっ!」
「…意外とこのテンポは面白い気がするな」
「そうだね。染岡くんにも、教えてあげたいな」
「「「………………」」」
「あ。キャプテン」

 吹雪を除いた3人の気持ちが程よくまとまったその時。
 4人の座り込む木陰から数メートル離れた、クラス棟と特別校舎棟を繋ぐ渡り廊下を歩く円堂の姿が目に入る。
 普段なら特に気にならない光景だが、その人影は1つでは無い。

「…あれは確か、女子テニス部の2年生じゃなかったかな?」
「アンタなんでそんな情報まで知って………」
「あぁ、確か生徒会の役員…だったか?」
「豪炎寺が知ってるってことは結構有名な人ってわけか…」
「あぁ〜!そらかなりな有名人レベルやな!」
「………どういう意味だ?」
「あ。何か雲行きが………」
「おっ!おぉぉぉっ!!!」
「ちょ、ちょっと浦部さん!声が大きいよ気付かれちゃうよ」

 4名がドタバタしている内に、件の円堂と『女子テニス部の2年生(生徒会役員)』は技術実習教室の裏側へと進んで行く。
 そちら側には校内のゴミ収集用のスペースが広がるだけで、生徒達はあまり近寄らないのだ。

「おお!何や円堂もスミに置けんなぁ!」
「いや…円堂に限ってソレは無いんじゃないか…?」
「ん?ゴミ置き場に行くのが何だって言うんだ?」
「………豪炎寺くん…君、時々本当に面白いよね…」

 結局。
 やけに興奮したリカと塔子に引き摺られるように吹雪と豪炎寺も木陰を離れ、円堂たちの後を追うことになってしまった。
 足音を立てないよう近づく4人の視線の先…
 こちらに背を向けて立つ円堂の影になり、女生徒の表情などは見えないが、声ははっきりと聞き取ることが出来る。

「私…円堂くんのことが…」

(来た来たキタァァァァァァァァァァ!!!!!!)
(ちょ!リカ落ち着けって!小声!小声だ!!)
(アホ!これが落ち着いていられるか!あの円堂やで!?)
(キャプテンも隅に置けないな。…ね、豪炎寺くん)
(ん?豪炎寺???)
(おお?何やお前!顔!耳まで真っ赤やないか!!)
(うっわ本当だ…首の後ろまで真っ赤だぞ大丈夫か?)
(………暑気あたりかな?もっとこっちの日陰に入った方が良いよ?   …二人の声も良く聞こえるし)
(あ…あぁ。俺のことは気にしないでくれ)
((無理があるだろ…))

「円堂くんがサッカーひと筋だっていうのは分かってる。でも私の気持ち、知って欲しくて…」
「え………?」
「それで、私のこと1番に想ってくれなくてもいいから………付き合って貰えないかなって…!」

(よっしゃあああああよく言ったテニス部女子いいいぃ!!!)
(一生懸命な女の子って可愛いよね)
(…吹雪にとって『可愛くない』女子なんて居るのか?)
(何か言った?財前さん)
(ちょ!二人とも黙り!円堂が何て答えるか聞き逃したらアカンで!!!)

「んー…。付き合うって、具体的にはどうすればいいんだ?」
「え?」
「オレはさ、やっぱりサッカーが1番で…今は1日中サッカーのことだけ考えてんだけどさ。『付き合う』ってことをする時間、無いと思うんだよな…」
「…そ…そうだよね………サッカー以外の時間、無いよね…。ゴメン!!私の言ったこと、やっぱり忘れて?変なこと言っちゃって本当にゴメンね」
「そっか?何だか悪いな。でもオレのこと好きって言ってくれたのはありがとな!同じ学校のヤツにそう言って貰えるの、すっげー嬉しいよ!」

((((………円堂…))))
 4対の視線がガン見する中。
 勇者円堂は最大のピンチをたった一人で切り抜けてしまった。




「はー。さっすが円堂や。アイツこのままやったらサッカーとケッコンする勢いとちゃうか!?」
「いや…アタシはそもそも円堂がそういうことになっている方に驚いたけどな」
「練習中にキャプテンのことを見ている女の子、結構居るよ?」
「「なに!!!!!!!??」」
「うん。…ね?豪炎寺くん!」
「え……?いや…オレはそういうことは…」
「なんだ…皆気付いて無いんだ?僕が知ってるだけでも5人…いや、7人………?」
「あれ?お前達、こんなところでどうしたんだ?」

 校舎の裏からそそくさと離脱をして。
 もとの木陰に戻る時間も惜しむように、渡り廊下のド真ん中で座り込んでいた4人に声がかかる。
 それは渦中の円堂のモノで………

「えっ、、えええ円堂!やあ!今日も良い天気だな!」
「そうやそうや!ホンマに井戸端会議日和やなぁ!!」
「皆でお喋りって、楽しいね」
「っ…円堂………いや、これは…」

 丸くなって座り込んでいた4人は慌てて立ち上がり、それぞれが明後日の方向を見ながら遠い目をしている。

「(…っく。アカン我慢できへんわ)………そや!そう言う円堂は何してたん?こないな辺鄙なところで…アレか。待ち合わせか!?」
「リリリリカっ!!!!!!!?」

 一度は誤魔化してやりすごそうかと思ったが、生来の好奇心(と、先ほど刺激されてしまった野次馬根性)がムクムクと顔を出してしまったリカは、開き直って問いかけてしまう。

「ん?あぁ、ちょっと話があるって言われてさ。休みの日なのにオレ達以外の部活も熱心に練習してるんだな〜!」
「………そうだね」

 対する円堂はというと、まさか目撃されていたとは露ほども思わないようで。
 …というかそもそも、あれが内緒にしておいて欲しい話題だということも、良く理解していないようだった。
 笑顔で相槌を打つ吹雪の背後に冷たいブリザードが一瞬見えたのは、幻覚ではないのかもしれない。
 先ほどから口を挟む隙を見出せない豪炎寺は、『触らぬ神にたたりなし』という言葉を全身全霊を以って思い出していた。

「なあ、円堂は誰かと付き合ったりせぇへんの?」
「リカアアアアアアアアアアア!!!!!」
「…浦部さんはいつでも直球だよね」
「お?何だ、それって今流行ってんのか?オレさ、そういうのホントよく分かんなくて!」
作品名:○○トーク! 作家名:抹茶まつ