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【テニプリ】温泉に行こう!

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朝日の差し込む寝室。一人寝には広すぎるクイーンサイズのベッド。規則正しい寝息を立てていた跡部はカーテンの隙間から差し込む陽光に眉を寄せ、寝返りを打つ。そして、覚醒を促すように鳴り響く携帯の着信音に重い目蓋を開いた。

「…うるせー…どれだ?」

仕事用に3つ、プライベートで2つの携帯を使い分けている。この着信音はプライベート用の様だ。跡部はシーツの上を這うように移動し、シャワーを浴びるのも億劫でベッドの下に脱ぎ捨てたジャケットを拾い上げた。
「…アーン?」
取り敢えず、口癖が口を吐く。受話器の向こうから聞き慣れた不機嫌な声が返ってきた。
『…お早う。後、一回鳴らして出なかったら切るところだったぞ』
電話から聞こえてきた声は余程のことがない限り電話を掛けては来ない無精者の友人以上親友未満、何故か幼馴染の手塚国光。
「…何だ、手塚か。そーゆー、てめぇだって、掛けても中々出ねぇだろーが」
いつも飯は食ったか、ゴミは出したかと日に何度も電話を入れるのは跡部だ。その度に手塚は迷惑そうだが、そうでもしないと恋人中心に世界が回っている手塚は自分のことを疎かにしがちだ。それに手塚の恋人越前リョーマとは顔見知りで、自分がいない間はくれぐれも手塚をよろしくと頼まれ、断れなかった。面倒臭い。何で、俺様が…。…と思いながらも、世話好き体質苦労性責任感の強い跡部は手塚の面倒を見てきた。気分は介護ヘルパーだ。
『俺のことはどうでもいい。ところで暇か?』
「アーン?」
珍しい。手塚が「暇か?」と、聞いてきた。跡部は携帯を片手にベッドから起き上がる。素肌の上をするりとシーツが滑った。
「…今日は休日だからな。一応、暇だぜ。何だよ?」
欠伸をひとつ。寝癖になっている髪をわしわしと跡部は梳く。
『温泉に行かないか?』
唐突な言葉に一瞬、思考が止まった。

「はあ?」

跡部らしくない間の抜けた言葉を返し、瞠目する。寝起きの所為か頭の回転がすごぶる鈍い。
『家族風呂の無料チケットがあるんだが…』
手塚は跡部の混乱を余所に言葉を続ける。ようやく、手塚が自分を温泉に、風呂に誘っていること理解し、跡部は息を吐く。
「…何で、俺様がお前と風呂に行かねぇといけねぇんだよ。越前と行けよ」
『そうしたいのは山々なんだかな。アイツは今、アメリカだ』
「アーン?だったら、越前が帰国したら一緒に行けばいいじゃねぇか」