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【テニプリ】温泉に行こう!

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 車を走らせ、リョーマがいるときと同じデートコースを辿る。隣に座っているのが、リョーマなら良いのだが、リョーマは今は海の向こう。…手塚は溜息を吐く。その溜息に跡部が耳ざとく眉を上げた。
「何だよ。その溜息はよ」
「隣にいるのがリョーマだったらと思って…ついな」
「…お前、俺様に喧嘩売ってんのか?アン」
「売ってはいない。それより、もうすぐ着くぞ」
うやむやに車は駐車場へと入る。ぶすくれた顔で助手席を下りた跡部はぽかんと口を開いた。
「何だ?水車があるぜ?」
「ここは渓流沿いにあるからな。水を引いて水車を動かし、蕎麦粉をひいているそうだ」
「へぇ…」
藁葺き屋根の民家を移築した家屋も跡部には珍しいようだ。
「入るぞ」
回る水車をしげしげと眺めている跡部を促し、二人は店内へと入った。




 そんなに何が珍しいのか、跡部は棚に飾られた張子の虎を突き、並んだそば猪口に目を留めて首を傾けた。
「何で、湯飲みなんか飾ってんだ?」
「湯飲みじゃない。そば猪口だ。そばのつゆを入れる器だ」
「ふーん」
跡部が手塚へと視線を返したところで、注文したメニューが運ばれてくる。ざるそばを二人は啜り、腹を満たすと店を出た。
「…悪くねぇな」
「そうか。口に合ったのなら何よりだ」
他愛のない話をしながら、帰途に着く。

「また、付き合ってやってもいいぜ?」
「そうだな。たまには、お前と出かけるのも悪くはない」

知り合いと言うには親しすぎて、だからと言って親友でもない。摩訶不思議な仲だが、それも悪くはない。





 夏風に目を細め微笑んだ手塚に跡部は鼻を鳴らして、目を閉じた。














オワリ
次ページはオマケ。