理解できない
音声と共に疑問が確信に変わった臨也は、逃げ場が限られている事への焦りから
か僅かに表情を引き攣らせ――
そして、笑った。
ああ、やっぱりそうなるのか――
そう思いながらも何処か安心している自分が酷く滑稽に思えた。
「っ……はは、やだなぁシズちゃん、気配を消すなんて芸当、いつからできるよ
うになったの?
……まあいいや、見逃してくれない?」
「なぁに寝ぼけた事言ってやがるんだ?……死ね、ノミ蟲ぃぃい!!!!!!」
俺は近くにあったダンボール(じゃら、と音がしたから多分金属がつまってる)を
持ち上げて臨也に向かって投げ付けた。
先程感じた胸の感覚は理解出来そうにない。
ただ理解したのは皮肉にも、まだ当分、このいたちごっこのような日常が繰り返
されるということだった。
FIN