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久住@ついった厨
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艶やかな徒花と標本のモルフォ

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 嫌な予想を裏付けるように、靴を脱がせ終わって元の位置に戻った俺の手に白い繊手が重なる。綺麗に整えた──これもまた俺の手によるものだ──爪が、すりすりと骨や筋を辿っていく。こそばゆさと誘うような動きに拳から僅かに力を抜けば、指は蛇のように俺の指の間に滑り込んできた。きゅう、と握られて反射的に緩く握り返す。向かい合わせていないからしっくりとはこないが、ギルベルトは嬉しそうに口元を綻ばせた。
 胸の奥が思い切り締め付けられる心地がする。駄目だ、ここに来てから普段とて正常だとは思えないが、今日の俺は特段おかしい。

「おいおいギル、お熱いのは分かったから俺たちにも構えよ」
「折角遊びにきたんやからもっとぱーっと騒ごうや」

 2人の世界というか自分の世界に入ってしまっているギルベルトに向かいから声が掛かる。のたりと視線を動かしてフランシスとアントーニョを見た彼は、にぃっと目を細めて宣うた。やだ、と。
 子供のような拒否にその返答をもらった2人だけでなく俺まで噴きそうになった。舌足らずな口調で幼い言葉を使うなど、何を狙っているのだ、この人は。しかもまださわさわすりすり、俺の手を構い倒しであるし。
 肩に懐かれるようにされると甘い匂いが花を掠めて、条件反射的にくらりとなる。フランシスの香水などとは違う、ギルベルト自身が放つ香りだ。それは異様なまでに、俺を魅了する。

「俺は今日ルッツとのんびりする予定だったんだよ。だからお前らの相手は二の次」

 なー、と同意を求めながら唇を重ねてくるギルベルトから逃れる術は、どこにもなかった。