人形劇
彼女のその勝気な性格は、彼女の人生においてたびたび障害をもたらしていた。14歳という多感な時期にたくさんの大きなことを抱えていた彼女にとってその性格は自分を守るために必要だったし、今もそう思っている。ああいった、誰もかれも寄せ付けない彼女にとっての鎧は必要だった。彼女は傷だらけだったから。
17歳になってみて彼女は気づいた。全ての戦いが終わって、解放された彼女の同僚たちとは裏腹に、彼女には戦いのさなかに死にたかったという大きな願望があって、結果それは叶わなかった。惣流・アスカ・ラングレーは、生きている。彼女の思考は大きく混乱し、一時はひどい、誰の目から見ても本当にひどい状態にまで陥ってしまった。しかし、なんとか自分で歩けるようになってから、ネルフ直属の病院内を歩いているとき、彼女は彼に出会った。始まりと終わりの話。
アスカはハーフという生まれもあって同年代の女の子よりずっと大人に近い外見だった。でも、病院で出会った少年――渚カヲルはアスカよりもずっと大人っぽく見えた。年は自分より一つしか違わない。それに、すごく整っていた。まるでその外見になるべく、いや、その外見のまま生まれてきたような整い加減だった。まるで人形。そう、アスカはカヲルを見た瞬間ぞっとしたものだ。――自分よりも、人形のような人間。
カヲルは首にいつも包帯を巻いていた。それ以外にはなんの外傷もなくてきれいな陶磁器のような肌をしていたが、その包帯だけが彼が人間だということを証明しているように見えた。そのころのアスカといえば、時折無意識に自傷してしまっていたため、腕や脚はいつもぼろぼろだったし、もう鏡も長いこと見ていなかったから、髪も伸び放題でボサボサだった。拒食症にもなったから、栄養不足で瑞々しかった肌もボロボロだった。ミサトやシンジがきて、時折差し入れにフルーツやら何やらを持ってきたが、アスカは最近までそれを格子窓から投げ捨てていた。ヒカリが何度もきて櫛で髪を梳いてくれたがそれもその日の夜には悪夢によって乱された。そんなアスカがいる病院にはそんな人間ばかりで気にしなかったが、ある日カヲルをみて驚いたものだった。病院の支給される青白い服すら彼が着れば立派に見えたものだ(これは言い過ぎかもしれないが)。
17歳になってみて彼女は気づいた。全ての戦いが終わって、解放された彼女の同僚たちとは裏腹に、彼女には戦いのさなかに死にたかったという大きな願望があって、結果それは叶わなかった。惣流・アスカ・ラングレーは、生きている。彼女の思考は大きく混乱し、一時はひどい、誰の目から見ても本当にひどい状態にまで陥ってしまった。しかし、なんとか自分で歩けるようになってから、ネルフ直属の病院内を歩いているとき、彼女は彼に出会った。始まりと終わりの話。
アスカはハーフという生まれもあって同年代の女の子よりずっと大人に近い外見だった。でも、病院で出会った少年――渚カヲルはアスカよりもずっと大人っぽく見えた。年は自分より一つしか違わない。それに、すごく整っていた。まるでその外見になるべく、いや、その外見のまま生まれてきたような整い加減だった。まるで人形。そう、アスカはカヲルを見た瞬間ぞっとしたものだ。――自分よりも、人形のような人間。
カヲルは首にいつも包帯を巻いていた。それ以外にはなんの外傷もなくてきれいな陶磁器のような肌をしていたが、その包帯だけが彼が人間だということを証明しているように見えた。そのころのアスカといえば、時折無意識に自傷してしまっていたため、腕や脚はいつもぼろぼろだったし、もう鏡も長いこと見ていなかったから、髪も伸び放題でボサボサだった。拒食症にもなったから、栄養不足で瑞々しかった肌もボロボロだった。ミサトやシンジがきて、時折差し入れにフルーツやら何やらを持ってきたが、アスカは最近までそれを格子窓から投げ捨てていた。ヒカリが何度もきて櫛で髪を梳いてくれたがそれもその日の夜には悪夢によって乱された。そんなアスカがいる病院にはそんな人間ばかりで気にしなかったが、ある日カヲルをみて驚いたものだった。病院の支給される青白い服すら彼が着れば立派に見えたものだ(これは言い過ぎかもしれないが)。