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みとなんこ@紺
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Doubt

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0.






はじまりは。





上司が連休をとった。
普通なら別に不思議のない事なのかもしないが、ここでは事情は異なる。
いつもアレなので信憑性は低いが、あの人は一応要職についていて、実は多忙な筈なので。なにせ結局、最終的に判を押すのはあの上司なので。
なので、その上司が3日以上の連休をとるなぞ今までなかったのだが。
何処で何をするのかは知らないが、3日間。
その間、ここ東方司令部には実質の主はいない。
まぁ今は特にこれといった事件も起こってないおかげで余計に時間があるからだろうか。なんというか、現在のこの空気は微妙なかんじだった。
変に間延びしてるというか。

取りあえず普段よりかは多少薄い書類の束を持って、今は主不在の執務室へ向かう。上官が帰ってくるのはまだ先だが、放っておくのもあれなので、実は現在執務室は丁度良い書類の一時保管庫と化している。
彼の副官は今の所それらを移動させる気はないようなので、帰ってきたらきっと全力で嫌がるだろう。
あらかじめ手に持っていた鍵を使って扉を開けると、中に誰もいないのに失礼しまーすとか言ってる自分が間抜けな感じだが、長年の染みついた癖は抜けない。
机の上では、この1日だけで溜まったらしい書類が見事な山を築いていたが、深くは気にせず、手にしていたものも上に積んでさしあげた。
その結構な量に微妙に首を傾げる。
…それにしても、いなかったらいないで…。
決済とか一々多方面に確認しなければならないかなり面倒なものなので、書類仕事から常時逃げ回っているような気がしないでもないが、結構していたのかもしれない。仕事。
…しかし現在のこの量はどうだろう。


あの書類の山が嫌いな上官が帰ってきたら暴れるかもしれない。


ハボックは僅かに眉を顰めた。
机の上の山はそれくらいの山にはなっている。
十中八九そうなった場合には間違いなく八つ当たりの標的にされるだろう。今までの数々の仕打ちが浮かびかけたが、原因もいないことだし、空しくなるだけなのでやめた。
何の気なしにぺろりと積んであった書類をつまみ上げてみたら、最近よく名前を聞く気がする何かの団体の嘆願書のようだった。別に惹かれる物はなにもないのですぐ戻す。
…しかしこれって大佐のチェックのいるような代物だったっけ。
その辺の判断は微妙に分らなかったが、その横には別の班が担当していたはずの案件の報告書とかならんでたりするのでいるものではあるんだろうが。

「――――どうかしたの?」
あ。
振り返れば、僅かに開いたままの扉から、ホークアイ中尉と、樽っぱらの同僚が覗いていた。打ち合わせの帰りらしい。そういえば扉を開けっ放しにしていた。
「いや、大佐のありがたみをちょっと感じてました」
ほんと、ちょっとだけ。
肩をすくめて答えれば、中尉は僅かに小首を傾げて、そう、とだけ返してくる。
ほんの僅かな沈黙が落ちる。
微妙にむず痒いというか、微妙な空気だった。別に何も疚しいことはないのに、反射で謝ってしまいたくなるような。
「・・・ハボック少尉」
「何か、」
あったんですが、と聞こうとして、視線でだけ続きを制すると、するりと彼女は執務室の中に滑り込んできた。
ブレダも同じように入り込むと、一度廊下を見渡して誰もいないことを確認してから扉を閉める。
これは確実に何かあったんだろう。
ちらりと現在休暇満喫中の上司の机を見やる。
何処で何をしているのかは知らないが、これで呼び戻さなければならないようなことだとすると、導火線はさらに短くなるんじゃなかろうか。
そんな事をぼんやりと考えていたので、次に続いた中尉の一言を危うく聞き流すところだった。
「その感謝の気持ちを直接伝えてきてくれるかしら」


「――――え?」


「有給まだ残っていたわよね?」
「え、え?」
「今月使わないと持ち越しが消えるわな」
「や、そうだけど、中尉なんでそれが」
大佐と己の有給に何の関係があるのか、さっぱり話が見えないんだが。
しかし、同僚2人の中では、それはごく自然な話の流れだったらしい。しかし淡々と続けられた一言に、さすがに動きを止められた。

「大佐が滞在中の宿から姿を消したわ」
「正しくは連れ出された、みたいだけどな」



2人の様子を窺うに、キレーなおねぇさんにほいほい付いてった、わけではないことは判った。



物好きな、とまず思った事はご本人様には内緒だ。





作品名:Doubt 作家名:みとなんこ@紺