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ひぐらしのなく頃に 壊 姉探し編

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第四話





昭和62年のある休日、昭和も終わるというこの年に全く知らない人が私達の客人として私の家に訪れた。雛見沢で働いていた警察官とその友人のようだ。


こっちは母が死んで3年しか経ってないのだ。人によって長い時か短い時かは捉え方は違うだろうが、少なくとも父さんにとっては3年は短い時間だった。父さんのあまり思い出したくないことをこの男、太めの警察官はしつこく聞いてきた。


彼にも譲れないものがあるのだろう。絶対に、雛見沢で起こった4年連続の怪死事件、そして雛見沢大災害の謎を解決すると、そう言う決意が体からにじみ出ていた。
無論もう一人の男からも決意が感じられた。ただ太めの方が少し行き過ぎというか、若干周りが見えてない感じだった。もっと客観的に話を進めればいいのに。


ちなみに私の家族の中で雛見沢の出身者は母さんだけだ。つまり母さんがいない以上、彼らと議論することは全く意味の無いことのようにこちらは思っていた。
父さんの疲弊は見て取るようにわかった。私はとりあえず父さんを寝室にまで連れて行って休ませ、あとの質問は私が答えることにした。


彼は姉さんのことを知っているらしく、私にも、私と姉さんの関係とかコミュニケーションとかを執拗に聞いてきた。本当に無駄なことだ。私と姉さんは会ったこともないのに。

「本当に会ったことはないんですか?本当かなぁ〜。」
「大石さん、彼女は本当に知らないようなのでこの辺にしておいた方が・・・。」
「ええ、私、本当に姉さんと会ったことないんですよ。ただ・・・・・・・。」
「ただ、なんです?」
「姉さんの霊なら私のすぐ横にいますよ。それなら何か聞けるかもしれないわ。何か聞いてみる?」



すごんでそういうと太いのは少したじろいだ。


実際の所は話なんか聞けないのだけれど。


霊感がある、どころか霊が見えるなんてことは人に話したことは一度も無かった。この時以外は。


「興宮書房の大石さんでしたっけ?あなた本屋ではないでしょう。多分警察かなにかかしら。」
「・・・・・どうしてそう思ったんですかねぇ、詳しく聞きたいものです。」
「ほらだって、あなたの周りにも霊が幾つかいますもの。雛見沢の連続怪死事件にも関わっていたのかしら。それにホラ、警察官って恨まれやすい職業でしょう?恨まれやすい人には結構霊が憑くのよ。ホントよ?」


太いのは頭をかき「まいった」という仕草をしながら連れの男に聞いた。


「あー、なんだ・・・そういうのってバレたっていうんですかねぇ?」
「実際、本屋っていうのは無理があったと思いますよ。」
「はあ・・・・そろそろおいとましましょうかね。あなた本当に何も知らないようですし。」


霊などというよく判らない理由で自分らの正体が暴かれたことに納得出来なかったのか、やる気の無くなった太い警察官は帰る準備をし始めた。


「ご理解いただけて幸いです。」
「うーん、アンタ達が最後の関係者だったんだがなあ・・・・・なんの情報も無し、か。コレで事件も迷宮入りかな〜。」
「あまり悲観しないで下さい大石さん。まだアプローチの方法は幾つかあるはずです。」
「ん〜とりあえず雛見沢の封鎖が解除されるまでかな〜。どのくらいになるんでしょうねぇ。」


・・・・?警察でも封鎖の期間の詳細は知らないものなのか・・・確か封鎖してるのは自衛隊か何かだったっけ・・・・?


「じゃあお邪魔しちゃったようですしそろそろおいとましますかぁ。お父さんにもよろしく言っておいてくださいな。」
「二度とここへこないことを願っています。ありがとうございました。」


皮肉いっぱいに言ってやった。


「はっはっは。最近の若い子は冷たいなあ・・・。」
「ちょっと、いいかい?」


若い方はまだ私と話し足りないみたいだった。あれだけ電波な台詞を言ってやったのに話しかけようとする根性は見上げたものだ。


「君は・・・本当に霊が見えるのかい?」


コイツには逆効果だったのかもしれない。あまりオカルティな話を信じるような外見ではないが、外見で人を判断してはいけないものだ。もう一人のタヌキはほとんど見た目通りだったけど。


「見えると言うより・・・感じるの、気配を。人には見えない、私にも見えない何か。今も私は姉さんの気配を感じている。残念だけど、姉さんは見えないし話せない。他の霊も一緒よ。私が出来るのは、気配を感じ取ることだけ。そこに何かが居るのがわかるだけよ。」
「そうか、気配でもいい、それだけでいいんだ・・・。」


肩に手をかけやがった、私はまだ小学生なのになんなんだコイツ。


「いつか・・・いつか封鎖が解除されたら雛見沢に行ってくれないかい?」
「・・・・・・・え。」
「君になら霊が見えるかもしれないなら、そして霊が災害の真実と真犯人を知っているなら・・・この事件は解決出来るかもしれない・・・。彼女の・・・古手梨花の霊に会えたなら・・・・赤坂が済まないと言っていたと・・・・伝えて欲しい・・・・。僕に出来なかった罪滅しを・・・君には出来るかもしれない・・・・・。」


・・・・・・コイツ、私が霊の気配を感じることしか出来ないって言ったのに・・・聞いてなかったのかな。


「おぉーーーーーーい、赤坂さぁーーーーーん、行きますよぉーーーーーーう。」
「じゃあ僕は行かなくちゃ・・・ごめんね、変なことを頼んで。」
「罪滅しはあなたがやらないと意味がないわよ?」
「わかってる・・・でもそれを出来て伝えるのは君にしか出来ない、もし君が大人になったら僕たちに協力して欲しいくらいだよ。」
「・・・・・考えてみるわ。」
「ありがとう、天城杏菜さん。姉さんと・・・話せるようになったらいいね。」


それだけ言って警察二人は帰っていった。


思えば私が雛見沢に行こうと思った、けど本当に行きたいかどうかわからなかった、でも行くことを決定づけた、そんな出来事だったのかもしれない。


「でも私、姉さんと話したいとは思ったこと無いわ。」


誰もいない玄関で、そう呟いた。いや正確にはすぐ後ろに姉さんがいた。なのに姉さんに失礼なことを、呟いた。


「だって私、姉さんのこと嫌いだもの。」