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ふれあいランド

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「・・・何故」

俺はこんなところに居るんだと
門田京平は溜息をついて

横でキャッキャと
子供達と動物と戯れている
自称恋人の
年下の男を横目で見る

いつものカンカン帽が
こんな夏日にはぴったりで
捲り上げたジャケットの袖
あははは、とそれは楽しそうに笑う声

「駄目じゃんかおめーら」

ほらちょっと貸してみな

完全に子供達の兄貴宜しく
ほら兎はこうやって抱くんだよ
ちゃんと落さねぇように気ぃつけな
と兎の抱き方など教えてやって
子供達と一緒にピースで親のカメラに収まったり

と、そこでふと門田がよく見て見れば
子供達付き添いの若い母親達がやたらと
デジカメやら携帯やらで
子供と動物をというか
六条千景を撮影しているではないか

ったく、と
門田京平は少しばかりこんな日には暑苦しい
ニット帽を脱いで髪を掻く

確かに
普通に見て六条千景はいい男の部類に入るだろう
というか
如何にも女が好みそうな小綺麗な顔だ
門田に服装のセンスは良く解らないが恐らく
それなりに流行の装いを適度に着崩しているし
人懐こいし面倒見もいいから子供にも好かれる

まぁ
女に好かれる要素は
ばっちりだしな

溜息をつく門田だったが
そういう自分の膝には小さな女の子が抱きつき
背中には男の子がぶら下がっていて
更に足もとにはラットだのが擦り寄っていて
自分も撮影されていたりするのは気付いていない

「ねーねー、オジちゃん。」
「・・・オジちゃんて俺か?」
「抱っこ。」
「はぁ?」
「オレ、肩車がいい!」
「はぁ?!」
「あははぁ。好かれてんじゃん京平?」
「お前が言うな!」

千景が笑って一人の女の子を抱き上げて
高い高いしてやると
オレも私もと小さな子が寄って来る

「はいはい、ちょい待ってなって。順番な順番。」

レディーファーストだ
女の子が先なーと
千景は笑ってしかも顔の可愛い子優先で抱き上げてやる
門田が呆れて見ている前で
何人もの子供がキャッキャと高い高いされては喜び
降ろされる

「はーい。終わりー。またなぁ?」

まだやってやってぇと纏わりつく子供達に
笑って手を振り
礼を言う母親達に芝居じみたお辞儀をして笑って見せて
千景が「さ、行くぜオッサン?」と門田を引っ張って
『ふれあいランド』と書かれた看板を潜って出る

「オッサン言うな。」
「ナンだよ。普段は大人ぶってるクセに。」

さてはさっき

「あのちっこいハニーにオジちゃん言われてショックかよ?」
「お前の『ハニー』の定義が解らん。」
「何言ってんだよ女の子は皆ハニーだろ?」

つぅか

「京平だって俺のハ」
「言ったらもう帰るからな。」
「はいはい。照れ屋さんだからな京平は。」
「京平と呼ぶな!」
「照れ屋さんなんだからもー。」
「照れてねぇ!怒ってるんだ!」
「あははー。またまた。」
「というか、何故」

俺がお前と

「動物園に来てるんだ。」
「ナンでって。」

俺が来たいって言ったからだろーと
千景は言った後

「オッサン大丈夫?もうモーロク?暑さボケ?」

門田の顔を覗き込む

「そんなワケあるか!って言うかお前」

なんで動物園なんだよと
門田が汗ばんでニット帽を脱いで髪をかきあげる

「あ、京平ソレ格好いいぜ。もっとやって?」
「・・・お前は。」

遊馬崎や狩沢達と居てもそうだが
こいつと居るとやたらと溜息が出るな

門田はポケットへ帽子を突っ込みながら溜息をつく

「だってさぁ。可愛いじゃんか。面白ぇし。」

動物とかガキとか

「可愛いし面白ぇ。」

当たり前の事のように言って千景は笑う

「特に女の子は可愛いしなー。ありゃ先が楽しみだ!」
「お前はナンパ以外に考える事は無いのか?」
「んー?そりゃあるけど。京平のこととか。」
「そういう話じゃねぇんだがな。」
「あ、でも京平もナンパしたんだっけ俺。」
「されてねぇ!」
「あはは。怒ったー。何ならココでやる?」

いつでも俺はいいぜ?と
こんな所でさえ
パシンと固めた拳を掌に打ち付ける千景に
「止めとけ」とまた溜息をつくのは
もういつもの流れというかお約束だ

「お前は。場所を考えろといつも言ってるだろうが?」
「んん?そだな。ココじゃさすがにヤれねーしな。」
「・・・本気でお前は俺を怒らせたいらしいな?」
「俺は本気だけど、そしたら京平が怒るんじゃんか。」
「当たり前だ!」

ったくこのガキ!と
門田京平はヘラヘラ笑っている年下の少年の頭を掴み
そのストローハットごと下へ押さえつける

「大人をからかうなっていつも言ってんだろが?!」
「あははー。オッサンだって歳そんな変わんねぇクセに。」
「だったらオッサン言うな!」
「だってオッサンじゃんかぁ。」
「怒るぞしまいにゃ?!」
「もう怒ってんじゃん!」

その気になれば
さっさとそうできたろうに
散々門田を煽っておいてから
スルリと逃げ出すのがいつもの千景の手だ
もういい加減それに気付いても良さそうなものだが
生真面目故に毎回付き合ってしまうのが門田という男で
だからこそ慕われるのだと悪循環は本人には断ち切れない

「あ、俺、猿山見よーっと!」

身軽に走る背中は
あっと言う間に遠ざかり
そんなところは相手の若さを認めざるを得なくて
面倒なヤツだなと門田は溜息をつく
そんなに面倒なら放り出して帰ればいいのだが
そうできていればこんな関係にはなっていない

猿山の場所は解っているので
慌てず騒がず門田がゆっくり猿山に辿り着いた時には
千景は柵に子供のように掴まって
何が楽しいのだか満面の笑みで猿の群れを見て居た

「オッサン、遅ぇよ。」
「知るか。お前が勝手に走るからだろ。」
「だって早く見てぇじゃん、猿。」
「猿か・・・。」

実際
門田だって動物園なんかに来るのは久々だ
今日だって千景に煩く言われて引っ張って来られなかったら
絶対に仕事以外では来る事など無い場所だ

「なぁ、あれ。あそこ。ちっこいの。見える?」
「あぁ?」
「ほらあそこ。」

千景の指さす先には
よくよく見ないと解らない程のほんの小さな仔猿が
母親の胸に抱かれており
周囲にはその兄弟なのかもう少し大きな仔猿達が居て
お互いに毛繕いしたりちょっかいを出したりしている

「あはは。かーわいいな、あぁいうの。」
「まぁな。」
「親兄弟って、いいもんだよなぁ。」

そのしみじみとした調子に門田がふと横から見つめると
千景の眼差しは
何かを懐かしむように少し微笑んで
猿達よりもっと遠くを見ているようだ
いつもあっけらかんとして明るい少年の
そんな眼差しを見るのは初めてで
門田は急に胸を突かれたような気になる




「・・・俺、俺さぁ。無茶苦茶可愛がられて育ったんだよな。」



猿を見つめたまま千景が
独り言のように言う

あぁ
そうだろうな

門田は静かに返事をした

お前は
そんな感じがするよ

「可愛がられて育った奴は解るんだよ。あったけぇからな。」
「はは・・・。そうなんだ?」
「きっとそうなんだろうなと思ってた。」

お前
いい奴だしな

「あはは。京平に褒められた俺?」
「まぁ、褒めてやってもいい。少しはな。」
「ありがと。」
作品名:ふれあいランド 作家名:cotton