リセット
1
「俺だってね、本当はこう言うこと、言いたくないよ?そりゃ、誰だって嫌さ。だけど敢えて言うのには、理由がある。それは分かるよね?」
「あぁ、もう。しつこいですよ、臨也さん!僕が悪かったって、言ってるじゃないですか!」
「わぁ、逆ギレ?それっておかしくない?酷くない?俺、傷ついて死にそう」
じゃあ、死んだら良いじゃないですか。といつもの帝人なら速攻で臨也にそう返していただろう。
だがしかし、今日の帝人はグッと押し黙って言葉を呑み込んでいるようだった。
一応、帝人も悪いと思っているらしい。
「だからっ、その、今日は……、本当に、悪かったと思ってます」
「…………、俺、ずっと待ってたんだけど?」
ムスッとしながら、臨也は帝人を見下ろす。
今日は、久々に臨也の休みだった。
だから、遊ぼうと、臨也は帝人を遊びに誘った。
けれど、待ち合わせの時間を超えても、帝人は来なかった。
待っても待っても、来ないし、携帯に連絡はつかないし。
流石の臨也も何かあったのかと思い、帝人を探していた。
「いやぁ、でも吃驚したなぁ。まさか待ち合わせの時間に来ない君を探していたら、君は紀田正臣くんと一緒に居ると来たら。待ってた俺って何なんだろうね」
「や、だから……、偶然会った正臣が、臨也さんと会うの危ないってしつこいから、その、説得してたんですけど……」
「でも、連絡くらいくれても良かったんじゃない?」
「………それについては、すみません。けど、突然僕の手引っ張って走らなくても良いじゃないですか。正臣、凄く驚いてたし」
「え、何?この期に及んでまだ紀田正臣くんの事を気にするの?」
言ってることが、自分でもガキくさいと臨也は気づいていた。
けれど、沸々とわき上がる怒りも確かに感じていた。
「もう良いっ、帝人くんなんか、嫌い!大嫌いっ!」
「あ、臨也さん」
このままグチグチと帝人に嫌みを言うのも何だったし、今日はもう遊ぼうという気分じゃなくなっていた。
臨也はくるりと帝人に背を向けると、早足に歩き始める。
人混みを器用に避けて、臨也は歩く。
「いざや、さんっ!」
後ろから、帝人の声が聞こえたが、振り返らなかった。
鈍くさい帝人のことだから、きっと人混みを上手く避けれずに苦戦しながら追いかけてきているのだろう。
臨也は、そんなことくらいしか考えていなかった。
「いざや、さん!!いざやさんっ、あぶな、い!」
だから、途切れ途切れに聞こえる帝人の叫び声に気づくのに、凄く時間がかかった。
「死ねっ、折原臨也……!」
「……え?」
帝人のことで、いっぱいいっぱいだった臨也は明らかに帝人と違う男の声に、反応すら出来なかった。
一瞬、確認出来たのは、男が握る鋭利なナイフ。
そして、次の瞬間には血の匂いが鼻を満たした。
「ぁ……、」
掠れて、声が、出なかった。
頭の中が、真っ白で、臨也は一瞬何も考えられなかった。
「俺だってね、本当はこう言うこと、言いたくないよ?そりゃ、誰だって嫌さ。だけど敢えて言うのには、理由がある。それは分かるよね?」
「あぁ、もう。しつこいですよ、臨也さん!僕が悪かったって、言ってるじゃないですか!」
「わぁ、逆ギレ?それっておかしくない?酷くない?俺、傷ついて死にそう」
じゃあ、死んだら良いじゃないですか。といつもの帝人なら速攻で臨也にそう返していただろう。
だがしかし、今日の帝人はグッと押し黙って言葉を呑み込んでいるようだった。
一応、帝人も悪いと思っているらしい。
「だからっ、その、今日は……、本当に、悪かったと思ってます」
「…………、俺、ずっと待ってたんだけど?」
ムスッとしながら、臨也は帝人を見下ろす。
今日は、久々に臨也の休みだった。
だから、遊ぼうと、臨也は帝人を遊びに誘った。
けれど、待ち合わせの時間を超えても、帝人は来なかった。
待っても待っても、来ないし、携帯に連絡はつかないし。
流石の臨也も何かあったのかと思い、帝人を探していた。
「いやぁ、でも吃驚したなぁ。まさか待ち合わせの時間に来ない君を探していたら、君は紀田正臣くんと一緒に居ると来たら。待ってた俺って何なんだろうね」
「や、だから……、偶然会った正臣が、臨也さんと会うの危ないってしつこいから、その、説得してたんですけど……」
「でも、連絡くらいくれても良かったんじゃない?」
「………それについては、すみません。けど、突然僕の手引っ張って走らなくても良いじゃないですか。正臣、凄く驚いてたし」
「え、何?この期に及んでまだ紀田正臣くんの事を気にするの?」
言ってることが、自分でもガキくさいと臨也は気づいていた。
けれど、沸々とわき上がる怒りも確かに感じていた。
「もう良いっ、帝人くんなんか、嫌い!大嫌いっ!」
「あ、臨也さん」
このままグチグチと帝人に嫌みを言うのも何だったし、今日はもう遊ぼうという気分じゃなくなっていた。
臨也はくるりと帝人に背を向けると、早足に歩き始める。
人混みを器用に避けて、臨也は歩く。
「いざや、さんっ!」
後ろから、帝人の声が聞こえたが、振り返らなかった。
鈍くさい帝人のことだから、きっと人混みを上手く避けれずに苦戦しながら追いかけてきているのだろう。
臨也は、そんなことくらいしか考えていなかった。
「いざや、さん!!いざやさんっ、あぶな、い!」
だから、途切れ途切れに聞こえる帝人の叫び声に気づくのに、凄く時間がかかった。
「死ねっ、折原臨也……!」
「……え?」
帝人のことで、いっぱいいっぱいだった臨也は明らかに帝人と違う男の声に、反応すら出来なかった。
一瞬、確認出来たのは、男が握る鋭利なナイフ。
そして、次の瞬間には血の匂いが鼻を満たした。
「ぁ……、」
掠れて、声が、出なかった。
頭の中が、真っ白で、臨也は一瞬何も考えられなかった。