ゆは夢のゆ
横になって彼を想っていても離れ離れになってしまった胸の痛みは募るばかりなのに、激しく揺さぶられた後の身体を睡魔が襲ってくる。
——眠ったら、コンラッドの夢が見られるかな……
すっきりして帰ってこられたときならともかく、今回はこのまま何事もなかったかのように日常に戻れるほど気持ちの整理がまだできていない。一晩眠れば、いつもの自分に切り替えられるはずだ。
コンラッドはどうしているだろう。何も言わずに帰ってしまった自分を怒っていないだろうか。
——淋しくて泣いちゃったりはしないだろうけどさ。
そんな彼の様子を想像して少し口の端を緩めた。中途半端な別れに、彼が気を落とさないでいてくれるといい。心はいつだって側にいる。遠く離れていても、ずっとコンラッドの、みんなの、幸せを願っている。自分の思うように会いに行けないのがもどかしいけれど。
「おやすみ、コンラッド」
魔石に軽く口付けて、胸元に大事に両手で包み込むように握ったまま、有利は眠りにつく。
『……ユーリ、おやすみ』
かすかに、彼の声が聞こえた気がした。
END