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葛原ほずみ
葛原ほずみ
novelistID. 10543
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Kissin' Christmas

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  年末、伊月の家族は田舎へ行くことになっていたが、バスケ部の練習があると言って同行を断ったのだ。もちろん練習があるにはあるのだが、年の瀬も押し迫った時期までやるわけではない。だから練習最終日から年が明けるまで、日向が伊月の家に泊まりに来ることになっている。もちろんお互いに下心をたっぷり持った上での約束。
 日向はそうだな、と今度は優しく頭を撫でた。
「じゃーそのときに覚えとけよ」
  言って、ふー、と自分を落ち着かせるように深呼吸をすると、伊月の頭に軽く頬ずりした。伊月も頭を日向の方に少しもたれかからす。
  頭を触れ合わせたまま、日向がぽつりと呟いた。
「……今日楽しかったな」
「うん」
  バスケ部二年だけで集ってのクリスマスパーティー。去年に引き続き二度目だが、来年は時期的に難しいかもしれない。そして再来年は、この時期にあのメンバー全員で集るのは多分無理だろう。皆きっと、違う道を歩んでいる。
  日向が伊月を抱き締める腕を緩め、少し身を引いて顔を覗き込む。
「オレらは来年も一緒に過ごそうな」
  うん、と伊月が再び頷くと、日向はその鼻先にキスを落とした。唇でなかったことに不満を覚えて伊月がムッとした顔をすると、日向は蕩けそうな笑顔を見せ、
「メリークリスマス」
と優しく囁いて、再び顔を寄せてくる。
「メリークリスマ……」
  ス、まで言わせてもらえずに唇が塞がれる。ずっと外にいて冷たくなったそれは、だが触れた刹那溶けてしまうかと思うほど、熱く感じた。
「——ん……」
 さすがに外なのでほんの数瞬重なっただけで唇が離れる。初めてのキスでもないのになんだか無性に照れくさくて思わずお互いに視線を外した。が、ちら、と様子をうかがった瞬間視線が絡み合い、変なぎこちなさに苦笑を交し合う。
 ——なんか、やっぱ好きだなあ……
 胸がきゅん、と音を立てて締め付けられるような気がした。とめどなくこみ上げてくる甘い感情に溺れそうで怖いぐらいに好き。鼓動が常より速いリズムを刻む。きっと触れ合っている日向にもそれは伝わっているだろう。
 こんなに好き。大好き。
 本当なら伊月の方がこのまま日向をかついででもお持ち帰りしたいぐらいだけど。
 今日はガマン、と自制して伊月は日向から一歩引いた。
 日向も甘すぎる空気を払拭するかのように大げさにぼやきながら白いマフラーを自分で自分の首に巻く。
「……ったく、最初に自分が巻くとは思ってなかったよ」
「でも日向に似合ってるけど」
「だアホ、お前の方が似合うっつーの」
  傍で聞いていればアホか、と言いたくなるような会話を交わしながら、どちらからともなく再び並んで歩き出した。
「ほら」
  路地を出るところで日向が伊月に手を差し出す。伊月が当たり前のようにその手を取ると、繋いだまま日向のポケットに入れられた。ポケットの中で指を絡め、ぎゅ、とお互いの手を握り合う。
  寒い夜は外を歩く人も少ないし、こうしてくっついて歩いていてもおかしくないから好き。
  寒いのは苦手だけれど、日向がこうして甘やかしてくれるならそれもいい。
  伊月は心の中でもう一度言う。
  メリークリスマス。
  今年も、来年も、ずっと一緒に。
 

「なあ伊月」
「なんだ?」
「ところでオレに、プレゼントは?」
「あ……っと、それは……」
「そっかー今度のお泊りでいよいよシックスナインやってくれるのかーそれは楽しみだなー」
「な……っ、そんなのしねぇよ!」
「プレゼント忘れてくる方が悪いだろ」
「……」

END
作品名:Kissin' Christmas 作家名:葛原ほずみ