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いざ飛ばむ、神のゴミ箱、或いは世界

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そんなことを呟きながら、僕は鉄柵をよじ登ると身を乗り出す。「然様ならセルティ、死ぬ前に一目でもいいから会いたかった」そう最期の言葉を一人で残し、僕がいざ鉄柵から手を放そうとすると、何処からか馬の嘶きが聞こえた。
セルティだ。僕は半分空中に身を乗り出した儘、嘶きの聞こえてきた方を見た。間もなく、セルティがやってきた。彼女は僕を見つけると慌てたように愛馬を降りて此方へ来ようとする。
「セルティ、来てくれたんだね! ちょっと待ってて」
僕は大声で叫ぶと踊り場に戻り、階段を駆ける。
セルティを待たせては不可ないと僕はほぼ全力で走った。普段あまり走ったりすることが無いものだから、たどり着いた頃には太腿が痛くて、ふらふらした。其れでも呼吸を何とか整えると、僕は声を張り上げる。
「セルティっ。君はしばしば色々なことに気を病むけど、そんな必要はないんだ。昔君が云ったんだよ。此の世界に完璧なものはないって。君は、其の儘でいいんだ。僕は、そんな君を愛していて、君が僕の傍にいてさえくれれば本当に仕合わせなんだ」
そう云うと、僕は一歩前に踏み出た。セルティも一歩踏み出て来る。
「だから、君が『失敗作な僕』でもまだ必要としてくれるなら、」
其処で一度切り、僕は深呼吸をする。
「此の大きなゴミ箱で受け止めてっ」
そう叫んでから、セルティはあの話憶えているかな? とやや不安になりつつ、僕は屋上の縁を蹴った。




(2010/06/24)