繋いだ手が熱かった
てっきり食べて帰りたいといわれると思ったが、素直に頷いたアーサーに、相当痛かったんだなといたわるように頭を撫でた。
「…パスタが良い」
「ナスとトマトが家にあるから…うん、そうしようか」
「ん…」
「帰るまで足、我慢できそう?」
フランシスはアーサーの足の擦り切れてる部分に持っていた絆創膏を張ってやりながら聞く。
「真っ直ぐ帰るなら大丈夫だ」
「じゃ、行こうか」
両足とも貼り終わり、パンプスをもう一度履かせると、フランシスはそっとアーサーの手を取った。
アーサーも素直にフランシスの手に掴まる。
絆創膏がクッションになって、先ほどより痛みは軽減された。
帰りの速度はゆっくりとしたものだったが、絆創膏を貼ってもらったおかげか、フランシスが気遣ってくれているためか、苦にはならなかった。