二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

Touch me, kiss me.

INDEX|1ページ/2ページ|

次のページ
 








唇に、何かが触れた。
掠め取っていくような感触に、エドワードは重い瞼をこじ開ける。
「…ああ、ごめん。やっぱり起こしちゃったか」
「……ある…?」














シーツの上で微かに首を傾げた兄の前髪を、ベッドの端に腰を下ろしてさらりと梳いた。
「遅くなるから先に寝ててって言ったのに、ボクが起こしちゃったんじゃ、本末転倒だよね」
「や、いぃ、けど」
ここ数日、王宮内はなんだかんだと仕事が立て込んでしまって、右宰相の肩書きを持つアルフォンスは不本意ながら、執務室から持ち帰った書類を私室で広げていたのだ。
そのため、せっかく部屋を訪れてくれたエドワードの相手も出来ず、かといって部屋に帰してしまうのも嫌で。
おまけに仕事を放り出すわけにもいかなかったので、やむなく兄に自分のベッドで先に眠っていて、と促していた。
「仕事、は?」
「一区切りつけてきたから。今日の分はおしまい」
「そ、か」
エドワードが眠気が払いきれないまま手を伸ばして、頭を撫でてくる。
「おつかれさん」
「ありがと。兄さんもお疲れさま」
「んー」
屈み込み、すりすりと額やこめかみをこすり合わせる。
こんな子供じみた触れ合いも、仕事に追われてもう何日も交わしていない。
『国王と宰相』としては、毎日顔を合わせていたというのに。




子供みたいに懐いてくるときは、気持ちから疲れているのだという弟のサイン。
「…ちょっと待って、寄るから」
もそもそ身動いでスペースを空けると、隣に滑り込んでくる体。
ぬいぐるみでも抱えるみたいに、ぎゅうと抱きしめられた。
「───兄さんの匂いがする」
「風呂は入ってきたけどなぁ」
「それは知ってるもん。そうじゃなくて」
髪に鼻先を埋められて、小さくくん、と鼻を鳴らす。
懐いてくるでっかいいぬみたいだ、と思ったのは内緒にしておこう。
「あれだけ執務で顔を合わせてたのに、こんなに近くにいられなかったじゃない?」
「ああ、そうだよな」
「だから、久しぶりにこうしてるんだなぁって、堪能してるとこ」
「…ふーん」
そっか、と呟いて、エドワードも負けじと弟の首筋に顔を寄せた。
確かにここのところ、兄弟らしいじゃれ合いも、コイビトらしいスキンシップも出来ずにいたから、これだけ近くにいるのは久しぶりだ。
真似するように首筋に額を擦りつけると、くすぐったいよと呟いたアルフォンスが小さく肩を震わせる。





作品名:Touch me, kiss me. 作家名:新澤やひろ