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うさみみ1

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最終決戦へと向かって行ったはずのユーリ達が、オルニオンへとやってきた。
消費したアイテム等の補充だろう。
久々に顔を見られる。そう思ってフレンは彼がいるであろう宿屋へと向かった。
今日はどうやらここで一泊するらしい。
その事は今日一日自由行動になったと告げにきたエステリーゼ様から聞いた情報だ。
街全体を見て回ってみたが、彼の姿だけはなかったので、宿屋で休んでいるのだろう。
そう判断して宿屋に向かったのだった。
ドアを開けて中へと入る。
まだ発展途上であるオルニオンの宿屋は少し狭い。
だから探し人もすぐに見つかった。
こちらに背を向けてベッドに腰掛けているようだ。

「ユーリ」

声をかけると、ベッドの軋む音がして、呼ばれた本人であるユーリがびくりと揺れた。
行き成り声をかけて驚かせてしまったのだろうか?
だが、気配に敏感な彼だ。
ドアの開いた音や靴音に気付かないはずはない。

「ユーリ?」
「あ、ああ…ふ、フレンか…」

再度声をかけると、ユーリが振り返った。
明らかに動揺している。
そして何かを隠すように両手で頭を抑えていた。

「何してるの?」
「い、いや何でも…」

ユーリが座っているベッドまで近づいていくと、ユーリは目を泳がせ、フレンを見ようとはしない。
これは確実に何かを隠している。

「ユーリ、何を隠してるの?」
「な、何も隠してない!」

相変わらずフレンを見ようとしないユーリは、フレンと距離を少しでもとりたいのか、ベッドの横へとずれていく。
それに気付かないフレンではないので、先回りしてユーリの進行方向側のベッドの淵へと腰掛ける。
また逃げられたらかなわないので、さりげなく腰に手を回してガードした。
そしてにこりと笑みを作って小首をかしげる。

「ユーリ、隠し事するなんて、僕は悲しいよ」
「悲しそうな顔全くしてないだろ!」

そう間髪いれずにユーリが突っ込んでくる。
フレンは苦笑した。
ユーリはあくまで言う気がないらしい。
頑固なところは昔から変わっていない。言わないと決めたら言わないのだろう。
フレンは嘆息した後で、それならばとにやりと笑って口を開いた。

「ユーリが言ってくれないなら、キスするよ?」
「は…?」

ユーリの瞳が驚きに見開かれる。
そして言葉の意味を理解してさっと頬が朱に染まる。
可愛いなあと思い、この場で本当にキスしたくなった。
作品名:うさみみ1 作家名:みみや