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彩りディナー

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アルフォンスがバゲットを切り終えたのを確認して、エドワードは席を立つ。
「…なあアル、約束するからって言うんじゃねぇけど」
「なあに?」
弟の広い背中を覆うシャツの裾を握り、俯いてとん、と額を押しつけた。
アルフォンスとは頭一つ分くらいの身長差があるので、エドワードはちょうど弟の首の付け根辺りに顔を埋めるような状態になる。
「───オレ、明日は遅番なんだ」
「うん、そうだったね。ボクも明日は遅出だから、一緒に出られるねって話、したもんね」
「ん。だからさ……やっぱり今晩、オマエが髪、洗ってくれよ」
どこか甘えるようにぽそりと呟くと、アルフォンスが肩越しに振り返る。
「兄さん…」
「…だめか?」
顔を上げたエドワードが、小さく首を傾げてみせた。
「やだなあ、そんな筈ないじゃない」
自然とアルフォンスの声音は、優しさと甘さを滲ませたオトコのそれになる。








「じゃあ、ご飯食べて片づけたら。一緒にお風呂、入ろうね」
「おう」
「支度を手伝ってくれたお礼も兼ねて、しっかり丁寧に洗わせて戴きますので」
「…あー、そういうつもりで言ったんじゃないけど」
「ふふ、解ってるよ。今夜は抱いても良いってことだよね?」
「…………おう」
ちょっとだけ視線をさまよわせ、エドワードは頷く。
「わざわざ”遅番だから”って理由を付けなくたって、ボクはいつでもあなたを待ってるよ?」
「……知ってる」
「ま、大抵ボクの方が我慢できなくて、先に手を伸ばしちゃうんだけどね」
小さく笑って、くるんと体ごと振り返ったアルフォンスは、エドワードの両手を取り上げて握る。






髪を洗ってもらう、イコール自分の世話をアルフォンスに任せること。転じて、自分の肌を晒し、全てを預けるということ。
つまりそれは、普段照れてしまって明確な言葉を口にすることが少ないエドワードの、遠回しながら精一杯の誘い文句というわけだ。
「───それじゃ、ご飯も兄さんも、美味しく食べさせていただきます」
「…残さず食えよ?」
「勿論ですとも」








キャベツの碧にブロッコリーの緑、トマトの赤ににんじんの橙、コーンの黄色。
色鮮やかなそれらの上に、照れたあなたの笑顔も載せて。
お腹も心も満たされる、彩りディナーのできあがり。





さあ、たんとおいしく召し上がれ。






作品名:彩りディナー 作家名:新澤やひろ