テクニシャンな彼
前編
☆
すっかり日も暮れ夜も更けて、時刻はもうすぐ世間のお子さま達が眠りに就く頃。
人も少なくなった司令部の一室で、それは行われていた。
「───ん…ぅっ」
机の上に体を倒すようにして俯せ、エドワードはぎり、と奥歯を噛んだ。
必要以上に力の込められた顎を、後ろから回された大きな手が愛おしむように撫でる。
「兄さん、ちょっとくらいなら声、出しても平気だよ?」
「アル…で、も……うぁっ」
緩やかに体を揺らされるリズムに抵抗するように首を横に振り、けれど堪えきれず小さな声を漏らす。
「…外には、聞こえないと思うけどなぁ」
耳元でくすりとアルフォンスが笑っているのが聞こえて、思わず首だけを後ろに巡らせる。
「ば…っ、だからって……っ!」
「ほら、だってここ…こんなになっちゃってるのに?」
「や、あぁっ!」