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テクニシャンな彼

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「───まさか、これは……」
「ええ、そのまさかじゃないかと」
二人の会話はまるで、恋人同士がベッドの中で睦んでいるときのようなそれで。
───いや、実際彼らは非常に仲の良い恋人同士ではあるのだが。
思わずその場に硬直したロイの肩を、ブレダがそっと叩く。
「いくらなんでもこれじゃあ、入るわけにはいかないでしょう?」
「夜の司令部って言えば、まあ美味しいシチュエーションではあるよなぁ」
「…しかし、執務室だぞ……?」
「だから燃えるんでしょう?いつ誰が扉をノックするか解らない状況って、スリルがあるっていうか」
「…ハボ、おまえヤッたことあるのか?」
「いや、ねぇけど。…つか少将、あんたも個人の執務室持ってるんスから、オンナ連れ込んだことくらいあるんじゃないんですか?」
「……ハボック大尉、私が仕事と私情の区別ができないほど節操なしに見えるかね?」
好き勝手に大人ならではの話題を展開する3人の背後で、こほんと一つ咳払い。
「───お三方。そこで何をなさってるんです?」
ぎくぎくぎく、と3人の肩がこわばる。
扉にかじりつく三人を見下ろしていたのは、美しく聡明なロイの右腕。
「ほ、ホークアイ少佐…」
「中に入れないので、どいていただけませんか?」
呆れたような表情でそう言ったホークアイに、三人は大いに慌てた。







「あ、あの、ですがホークアイ少佐、中にはエドワードが」
「当たり前でしょうブレダ大尉、ここはエドワード・エルリック大佐の執務室なのだから」
「いや少佐、アルフォンスの奴がですね、少し前に中に」
「ええ、知っているわよハボック大尉。さっき会ったもの」
さらりと返したホークアイに、三人は思わず顔を見合わせた。
「───何か不都合でも?」
僅かに首を傾げて尋ねるホークアイの手には、木目調の盆がひとつ。
その中には紅茶───香りから察するにダージリンだろう───が2人分。
「不都合、というか…鋼のも知っているのかね?」
「はい、エドワード君のたってのお願いですから。私が中に入ることには支障ないはずですが」
さらりとそう言ったホークアイに、三人はまた顔を見合わせる。
扉の向こうで繰り広げられているのは(会話を鑑みればどう考えても)仕事にはまるで関係のない行為。
というか、そもそも司令部の執務室で行うには不適切な行為だ。
どうやらそれに、兄弟はホークアイを巻き込もうとしているらしい。
「アルフォンス君、とても上手なんですよ。ご存じありません?」
「い、いや」
三人の脳裏に、もしや3Pか、と下世話な言葉がよぎる。
両手で持っていた盆を左手に持ち、ホークアイは何の躊躇もなく扉をノックした。
「───エドワード君、アルフォンス君。入るわよ?」
そして中からは、ユニゾンでどうぞ、と返答が。




作品名:テクニシャンな彼 作家名:新澤やひろ