悪循環パンダ
するりと髪を撫でる。
漆黒のそれは自分と身の回りにはない色で、とても好きだ。
自分はこの人がとてもとても好きで、二度と会えないとなったら気が狂う。多分。
自分は今仕事を殆どしないから、いつでも会えるけど。
この人はそれはそれは仕事を頑張る性質だから、いつでも会えない。
会いに行って、邪魔をするのも、邪魔にされるのも嫌で、滅多に会いに行かない。
この人が自分のことを愛してくれているのはよくわかる。
あまり言葉にしない人だけど、よくわかる。
事実、こうやってたまに会いに行けば、キスも惜しげなくしてくれる、ハグも沢山してくれる。
下世話なことを言うなら、こうやって夜が明けるまで愛してくれる。
こんなにしてくれるんだから、実際好いてくれなくてもいい。嬉しい。
・・・・・・・嘘、やっぱり沢山愛してくれてるからどれも心地いいんだと思う。
何が言いたいかっていうと、俺はコイツが好きで好きでしょうがなくて。
会えない期間の寂しさをパンダで埋めてしまおうとするくらいで。
結局埋まらずに虚しい思いをするのはわかってる。
そんな俺の話を聞いて、コイツはじゃあもっと愛してあげます、とキスもハグもセックスも沢山くれるけど。
その結果、帰りの飛行機の中の俺の虚無感といったらそれはもうハンパじゃなくて。
ああ、なんて悪循環。