高校生って夢いっぱい
03.
正直な話忘れていた。
確かあれは夏のことで、クマから事件の気配はないことを聞いた俺達は普通の高校生らしく街に出てたまの休日を楽しんでいて、そんな日の帰り道陽介と二人になったところで何か告白のようなことを言われたのだ。
そこまではいいとして(いやいいかどうかは別として)あまりに自然に何てことないように歩きながら告げるものだから俺は告白だと気付かなかった。思いきり流した。
気付いたのはその直後で俺が何の気無しに陽介の方を見たら陽介の顔が唖然から微妙な表情に変化していくのを見たからだ。
笑いたいのか泣きたいのか両方なのか歪んだ表情は数秒後笑いに転がったらしく盛大に吹き出すのを今度は俺が呆然と見る番だった。
そんなひと夏の1ページにもならなかった(ある意味陽介への恨みページ)出来事が続いていたなど誰が思う。俺は思わない。
陽介がジュネスのジュの字で手に入れた(厭味)発売前の新作ソフトを片手に家に来ないかと誘われてついて行っても俺には非はないはずだ。
「卑怯だ」
下から見上げながら言う。
陽介を見上げなきゃならないなんて腹立たしい。別に見下しているわけではないが俺のチョモランマな(エベレストより親しみやすい)自尊心に傷がつく。
元々よくもない目つきをさらに下げて言えば「これも作戦だろ」と心なし弾んだ声で返された。参謀は名ばかりだと思っていた(ひどい)この男実は知能派である。
というのは冗談で誰か穴を。人が入れる穴を一つ。
作品名:高校生って夢いっぱい 作家名:糾合