二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

高校生って夢いっぱい

INDEX|4ページ/5ページ|

次のページ前のページ
 




02.

※にょたいかちゅうい!すみません!



まあ今までだって何度か痛い目くらいみてる。
開けた瞬間SP残らず持ってかれたり厄介な敵が先制攻撃で現れたり。
それでも見つけたら手を出さずにいられないのは開ける時の期待感だとか勿体ないという貧乏気質(別に貧乏じゃないが)だとか男のロマン?だとか…

つまり俺は宝箱を見つけたら開けずにはいられない性質だった。



「…で、どうすんだ、コレ」
疲弊したような陽介の声はいつもより少し高い。
ついでにいうならまだ声を出していない俺の声もきっと、いや確実にいつもより高いだろう。
「…」
だめだ俺は勇気が足りないから声を出せない。MAXより高い勇気が必要だ。
頭を振ったら髪が揺れていたたまれなくなってやめた。

しばしの沈黙の後、搾り出した謝罪の声はやっぱり高かった。しにたい。



まんまと宝箱トラップに引っ掛かり性別が転換され、力無く雪子城から出た俺達を迎えたのはクマから事情を聞いたらしい正真正銘の女子達の爆笑だった。ひどすぎる。
「てめぇら、他人事だと思って…!」
涙目の陽介が睨みつければ増す笑い声と「カワイー!」という称賛。
確かに可愛い。長い茶髪、赤いチェックのスカートは短い。
胸は…やめておこう。セクハラだ。
「…天城、何か打ち消し持ってない?」
視線を陽介から移動させ、補助の神・雪子に声をかけると笑っていた二人がピタリと止まった。
何事かと慌てる俺に視線が集まり、その視線が熱の篭ったものに変わる。
「かっわいい…!」
「てゆうか美人。ちょう美人。いいなー」
言いながら距離が詰められ後退るより先に挟まれ、これでもかというくらい触られた。
「つかでかっ!!何コレ何カップ?メロン?」
「いや、月森君が女だったら巨乳だろうことは予想の範囲内だよ」
両サイドの言葉は俺には聞こえない言語だ。ついでに揉まれてる気がするのも気のせいだ。
女子に手を挙げるなど俺のフェミニズムが許さない。ついでに言うなら勝てる気がしない。
断じて俺が弱いわけじゃないがいまは普段より力がないのも事実だ。
思案していると、結局何も出来ない俺(と好き放題の女子達)を睨むように見ていた陽介がいきなり割り込むように俺達を引きはがし、自分の背中に隠すという謎の行動に出た。
「陽介?…どうした?」
隠すといっても身長差は男の時と同じくらいで俺の方が少し高いし陽介はガタイがいいわけでもないので効果はない。女子の手からは離れたので感謝するべきか。
口を開く前に陽介が顔を真っ赤にして怒鳴るように言った。
「おっ、おまえら!いい加減にしろ!どう見てもセクハラだ!!」
陽介の言葉で気付いたが俺は今まで二人とあまり触れ合ったことはなかった。(嫌われてるとかじゃなく年頃の男女の距離だと思う)
「女同士のスキンシップなんてこんなもんだと思うよ。いいじゃない、今女なんだから」
しれっと返されて陽介が詰まったのが見えた。
(女同士はこれが普通なのか)
そこまで考えて気付いた。陽介も女じゃないか。

「っ、だからって元男をうわああ!!」

後ろから抱き着いてみたら悲鳴を上げられた。失礼だ。
そのままぎゅうぎゅう抱き締めていると後ろからでもわかるほど陽介が真っ赤になっていた。
「…おい陽介、大丈夫か?」
さすがにやりすぎたかと思って声をかけ、少し力を抜いたら陽介が思いっきり振り返った。
「、」
お互いあまりの近さに驚いた。
文化祭のときとは違う化粧のけの字もない素顔がこんなに可愛いなんて反則だ。
元々長い睫毛と見開かれた綺麗な茶色の眼から視線が外せなくて、


「花村顔赤過ぎ!中学生かっつーの!」
時間を切り裂くのも女子の爆笑だ。
ヒーヒー笑いながら指差され、次第に陽介の顔が赤を残したまま怒りに染まっていく。
「おっまえ…!!つーか天城も笑いすぎだっつの!息しろ!」
雪子が笑いすぎで死にかけている。
ひどい惨状を見ながら、なんとなく危なかったと思った。


作品名:高校生って夢いっぱい 作家名:糾合