だいすきのうた
すき、すき、だいすき。
ひとは言葉が使えるから気持ちを伝えられるのにオレが言葉にしても、届いていないみたいに臨也はそっけない。
ねぇねぇ、オレは本当に臨也がだいすきなんだよ?
どうすれば臨也に伝えられるのかな?
オレは今日も臨也に「すき」と言ったけれども臨也は「へぇ、そう」としか返してくれなかった。
めげずに毎日「すき」って言っていたけれど今日はとうとうオレはメゲてしまった。
悲しくてしょうがなくて臨也の家から飛び出していつの間にか池袋の公園のベンチでぼんやりと空を見つめていた。
「あれ、サイケさんじゃないですか」
「あ、リンダくん」
「浮かない顔してますけど悩み事っすか?」
「えへへ、分かっちゃったか」
そうだ、リンダくんならイイ方法が分かるかもしれない。
ベンチに二人並んで座ってぽつぽつとオレは話しだした。
本当に臨也が好きだってこと、それを伝えてもそっけない返事しか来ないこと、それが不安でしょうがないこと。
「いやー、ゴチソウサマです」
「ええっ、何が!?」
「本当にサイケさんって臨也さんが好きなんですね」
「…うん、臨也がすきだよ」
「もー!その頬を赤らめて『すき』って言っちゃう辺りで貴方は乙女ですかーっ!」
「からかわないでよ…」
「すんません、えーと取りあえずどうすれば臨也さんに気持ちが伝わるかですよね」
うーんと唸り声を上げて暫く考え込んでいたリンダくんがぽんっと手を叩いた。
「そーだ!やっぱりココは歌ですよ!」
「うた…?」
「そうっすよ、俺たちが得意なのは歌でしょう?その才能を使わないと勿体ないっすよ」
「うたで気持ちを伝えればいいのかな…」
「ええ!臨也さんへの恋の歌を歌って伝えるんです!」
「…ありがとう、リンダくん!おれ、がんばるねっ」
リンダくんにお礼を言っておれは直ぐに家に帰った。
臨也は仕事なのか居なかった、いつもなら寂しいけれど今は好都合だ。
臨也への歌を作って唄おう、そうすればきっとおれの好きが伝わるはず。
おれはその日、寝ずに作詞と作曲に打ち込んだ。
早く歌を完成させて臨也に聴かせたい一心で。