だいすきのうた
「できた…!」
出来たばかりのメロディをプレイヤーに入れて何度も聴く、何度も出来たばかりのフレーズを口ずさむ。
オレの得意なポップ調のメロディに乗せて臨也へのだいすきを何回も何回も。
「…それ、新しい曲?」
「わっ、い、臨也!?」
歌の練習に夢中になっていて臨也が部屋に入ってきてたなんて気付かなかった。
慌ててPCの画面を隠すのも怪しまれるだけだから素直に頷く。
「ふーん…イイ曲だと思うよ」
「…!!本当に!?」
「うん、ポップな割に切ない歌詞で俺は好きだよ」
この曲を好きって言ってくれたのが嬉しくてつい臨也に抱きつく。
「ちょっと、サイケ…」
「臨也この曲ね、臨也へのだいすきのうたなんだよ」
「俺への…?」
「うん、臨也って好きって言ってもそっけないからね…歌で伝えたらちゃんと伝わると思って…」
だからこの歌を作ったんだよ。
「…そ」
「うん」
やっぱり歌でもダメだったのかな、なんだかそっけないと思った瞬間にギュッと抱きしめてくれる臨也の腕。
「これでもさ、ちゃんとサイケに伝えてるつもりなんだけどなぁ…」
「な、なにを?」
「好きって」
「……!!」
「君ってちょっと頭の回転遅いからね…そんなとこも好きだけど」
そう言って笑う臨也はオレのおでこにキスをしてくれた。
『これなら分かりやすいでしょ』と。
うたですきを伝えるのに成功したから今度はオレの言葉で伝えるよ。
「臨也、だいすき!」