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転がす句点

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さっきは失敗した。お茶を濁したのは先輩ではなく俺の方で、助かったのも俺だった。歪みとは普段の意識に昇らせないことこそが常態であって、裏方に徹するべきなのだ。
目を細めて猛省、するも注目を浴びると歓喜に身を震わせるこころはどうしようもない程考えなしである。独占したものが他と違ければそうである程の優越感を抑えられず、異形でも欠落でも気になんてしないのだから。
ふと、稀に湧き上がる感情に背を押されて環境も状況も立場が変化しても、とけない呪いだなあという呟きをわざと漏らしてみる。やはり変わらないのは煮詰め過ぎた砂糖味の戒めだけである。程々にしないと、自分は依存相手に同化していくかもしれない。それは、困るやも。
相容れない存在こそ愛おしいと言ったのは誰だったかも思い出せないまでに、蕩けた午後の日差しが廊下で伸びてしまっている。変化を一寸先のところで避ける歩み癖は、既にじわりじわりとうつっていたのだ。刻む時と平行して染め上げられていく空や、瞬く間に過ぎる一瞬の重なりが積って出来る思い出の様に。





もうずっと代償を支払い続けている。気付いて気付かないフリをして、それを気付かれたのも気付かないフリをしている。
亀裂を作わざわざらないように、あえて言わないという選択で態度を固めては惰性そのままに寄り掛かっている。ずっと当時のままで放置したものは無視出来ない訳でもない。だが、同世代が身を固めたやら誰それがゴールインした類の吉報を耳にして、ほんの少しの寂しさを覚えるのは確かであったので。ようするにきっかけを待っていたのだ。
だから試しに言ってみよう。せめて最後くらいは僕から歩み寄ろう。















「え、僕達付き合ってるよね?」
初耳ですが、蜜月はいつでしょうか。
作品名:転がす句点 作家名:じゃく