二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

バッドエンドだとしても

INDEX|2ページ/2ページ|

前のページ
 

腕で顔を覆い、息を荒くして感情のまま叫ぶイヴァンの姿に夢でみた子供が重なる。

「君のせいだ!君が僕から全てを奪った。全て奪うなら……完璧に僕を殺してくれればよかったのに!」

アルフレッドはそれ以上イヴァンの言葉を聞きたくなくて衝動的に彼の顔を覆う腕を抑えこみ、無理やりに口づける。
イヴァンの瞳は驚きに見開かれ、腕はなんとか自由になろうジタバタと暴れる。しかし、病み上がりの彼の力など、アルフレッドにとっては簡単に封じ込められるものだった。
舌をねじ込めば、強くかみつかれる。それでも口づけを離さず、だらだらと流れるまま血液を彼の喉に注ぎ込んだ。イヴァンが抵抗をやめ、息を切らし、そして涙を止めるまで口づけは続いた。

「俺がそばにいる」

ぐったりとしたイヴァンにできるだけ優しく、けれど逃れられない強さで宣言する。

――女の子を口説くなら、弱っている時にかぎる

そう言っていたのはフランシスだっただろうか。そう言われた時、俺ははそんな卑怯な事はしない!と怒ったものだった。
けれど今の自分ときたらどうだろうか。アルフレッドは胸の中で自嘲する。自分で追いつめておいて、弱った彼に付け込んで。これがヒーローのすることだろうか。
けれどヒーローのままではきっとイヴァンを手に入れることができない。ならばヒーローなど糞くらえだ。

「何があってもそばにいるし、君を決して一人にしない。イヴァン、君が好きだ」
「ほんとに?」

縋るような瞳でイヴァンは見上げてくる。当然だ、もう彼には自分以外縋るものが無いのだから。。

「本当だ。愛してるよ、イヴァン」

もう一度口づけを落とす。けれど今度は抵抗せずにイヴァンも静かに受け入れる。

イヴァンに深く口づけながら思う。
きっとこの道の先にハッピーエンドは無いだろう。あるのはバットエンドだけだ。
それでも手に入れた腕の中にある熱だけは手放せない、そのことを泣きたくなるほど感じていた。