庭園と煙草
「あぁ、グレミオ殿の料理を食べるのは俺は初めてだからな。楽しみだ」
「そりゃーお前はそうだろうさいやグレミオさんの料理はもー絶品だけどもーもーもー……」
扉に懐いたサキの頭を叩いて開けさせる。あぁ、これはトランへの旅が楽しみだ。建国以来何処にも旅行など行っていないと頭の端で考えを巡らせた。自分にとっても、そしてサキにとっても久方ぶりの休暇だ。これを楽しまない理由はない。そう思いながら、最早腑抜けと化した主君の首根っこを掴み、彼にしては珍しく、何処か浮かれた調子で城内へと足を進めた。