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俺と先生との恋愛過程 1

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理解してもらおうなんて全く思ってないし、理解されるはずもない。
けど、なんだか痛そうに見られるから、俺はその目から逃げるように顔を逸らした。

「……平和島くん」
「……はい」
「約束してほしい」
「え?」
「怪我したら真っ先に僕のところにきて。すぐに手当てするから。僕に出来ることはこれくらいだから」

踏み込んでこない先生にありがとうございます、って保健室を出る。
嬉しい、そう思った。





4.「先生」じゃないと駄目





「また朝から凄かったねぇ」
「うるせぇ」
「あ、先生に手当てしてもらったんだね。竜ヶ峰先生優しいでしょう?」
「………………まぁ」

そう言ったら新羅は驚いた顔をして、にまにま笑ってきやがったから思わず頭を掴んで握ってやった。
痛い痛い、と言う新羅を無視して一分間くらいしてやって手を離せば、新羅はひどいなぁって頭を撫でていた。

「お前があんな顔で見てくるのが悪いんだろ」
「だって静雄見たことない顔で笑ってたから」

……笑って、た?
は? と新羅を見れば、新羅はまた驚いた顔で俺を見てきた。やっぱり無意識なんだ、と。
え、俺本当どんな顔してたんだ?

「まさかそんなに静雄が竜ヶ峰先生を気に入るなんて思わなかったなぁ……いや、待てよ。まずいかも」
「まずい? 何がだ」
「……もしかしたら先生、臨也のところ行くかもしれない」
「あ?」
「君の怪我を治したんだ、次は臨也かもしれない。あの人はそう言う人だよ。あとナイフどうした?」

ナイフ、そう言えば抜いた後どうした?
あのままにしたはずだ。

「もしかしたら臨也に返して。武器なんて使っちゃだめだよ、とか言うかもしれない。そしたらどうなると思う」

ぞわっと背筋に何か走る気がした。
まずいまずいまずい!!!
臨也は確実に興味を持つ。最悪だ最悪だ最悪だ!
慌てて立ち上がって教室を出る。
授業? そんなの知るか!
慌てて走って保健室に向かう。
勢いよく扉を開けば、そこにはかなり驚いた顔の先生が。
授業はどうしたの、と慌ててこっちまで来る先生。さっきと変わらない。ほっとしたとき、臭った。
ノミ虫の臭いが!!!
かぁと頭に血が昇る。駄目だ駄目だ駄目だ!

「……何でもない」

そう言って保健室を出る。よく耐えれたな、俺。
そう思ったとき

「滑稽だね。シズちゃんが普通の人間みたいに慌てるなんてさ」
「い、ざや……!!!」

目の前の窓に凭れて臨也がニヤニヤ笑っていた。
きっちり治してもらった手をひらひら振って。
思わず勢いのままに殴りかかれば、臨也はするりと交わしたから窓を割ってしまう。
音が鳴って慌てて先生が保健室から出てきた。

「へ、平和島くん!」
「じゃあね、シズちゃん。帝人せんせ!」

笑顔で笑って臨也は先生の頬にキスしていきやがったから、もうマジ殺す、と思って走ろうとしたとき

「平和島くん!」

腕にしがみつかれ、俺が止まる。
まさか止まることが出来るなんて思わなかった。
ゆっくり先生を見れば、先生は少し困ったように笑った。

「怪我の手当てするから」

また手を引かれる。
何故だか泣きそうになった。



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作品名:俺と先生との恋愛過程 1 作家名:秋海