わるいゆめ3
3.
次の標的を決め、ブルースクウェアのメンバーたちがそれぞれの配置につくべく散っていった後に、
作戦会議のための机のそばのソファに座っていた帝人は、傍らの青葉に呼びかけた。
「青葉君」
いつもどおりの微笑みを浮かべてこちらを見る帝人に、
「なんでしょうか、先輩。」
青葉が恭しく答えると、帝人はこちらに腕を差し出してきた。
その動作が、ひどく無造作だったため、反応が遅れた。
気づいたとき、自分の首元には光るもの--机の上にメンバーが忘れていった小ぶりのアイスピックが突きつけられていた。
息をのむ青葉。
アイスピックを突きつけている帝人の表情は、いつかのような、どこまでも冷たいものだった。
「今後一切、正臣に余計なことを言わないで。」
その言葉は、ぞっとするような響きを含んでいた。
青葉は、目の前の帝人に、あのときのような戦慄を覚え、ふるりと震える。
「わかり、ました、先輩。」
従順にうなずくと、
「ありがとう、青葉君」
帝人は、微笑んで満足げにうなずき、何事もなかったようにアイスピックを机の上に戻した。
「この作戦がうまくいったら、みんなで食事会でもしようか。」
にこやかに告げる帝人に、青葉は背筋を這い上がった悪寒をこらえて、微笑んだ。
「いい案ですね、先輩。」