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さるたときを@けむ改名
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novelistID. 9359
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【パラレル】静雄と臨也

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「本当はこんなとこにお前を連れて来たくなかったんだけどな……」
「大丈夫っす」
「悪い。……少しくらい嫌なもの見てもキレるなよ。回収が出来なくなるから」
「はい」
静雄が頷いたのを確認してからトムはビルの中に入っていき、静雄が後に続いた。


地下2階にある部屋の中で、静雄は顔をしかめた。
2人が今いるのは6畳に満たない細長い部屋で、大きな窓越しに隣の部屋が見えている。
そこにいるのは十代の少年ばかりで、全員の手に手錠が付けられていた。
「トムさん、これ……」
「ああ、人身売買だよ」
吐き捨てるように答える。
「海外に比べたら圧倒的に少ないが、裏じゃ日本でだって行われてる。日本人を扱ってるのはここくらいのもんだけどな」
「よければ買っていかれます? そうすればあなた方もすぐにお金を回収できますが」
細長い部屋の奥の椅子に腰掛けた男が、感情の無い声で告げてくる。
「最近は不況であまり売れ行きがよくないので、買って頂けると助かるのですが」
「誰が買うか。俺らはお前とは違うんだよ。……おい、静雄?」
トムが振り返ると、静雄が一人の少年に釘付けになっていた。
「……アイツ、なんで一人だけ手錠が違うんすか」
他の全員が多少自由の利く長めのものをしている中、確かに、静雄の見ていた漆黒の髪の少年だけが、ほとんど動かせない短い手錠をしていた。
「ああ、アイツですか?小器用なのか、自由の利くやつだとすぐに外してしまうんですよ。別に逃げようとするわけでもないんで困りはしないんですが、売るのに少し支障があるのでね」
「そうか」
そう相槌を打った時には、もう静雄の視線は少年に戻っていた。
ただじっと、目を逸らさずに見つめ続ける。
そこで何か考え事をしていたらしい少年がやっと静雄の視線に気付き、視線が合う。
静雄を品定めするように目を細めて、少年は唇の端をあげて妖艶に笑った。