【パラレル】静雄と臨也
池袋街中
「ねえねえ、名前はなんていうの?」
「あ? 平和島静雄だ」
「ふーん……じゃあシズちゃんって呼んでいい? いいよね! ところでさあ、これから何処に行くの? ラブホ?」
「違ぇよ」
がしり、と少年の頭を静雄が手で掴む。
「手前の名前は……折原臨也でいいんだよな、確か」
「うん。好きなように呼んでいいよ」
「じゃあ臨也でいいな」
「好きにしてってば。……で、この手は何? いや別にどんなプレイでも受け入れる覚悟はあるけどさあ、さすがに街中は勘弁してよね」
「手前が逃げねぇようにだよ」
「は?」
「さっきからきょろきょろしてんじゃねえか」
「っあはは、何それ! 俺別に逃げようとしてるわけじゃないから!」
「じゃあ何してんだ」
訝しげに静雄の眉が寄せられる。
「強いていうなら人間観察、かな? あと久しぶりの娑婆の空気でも満喫しようかなと思って」
「娑婆って……」
犯罪者じゃねぇんだから、と続けようとした言葉は、臨也によって遮られた。
「あえて言うなら、俺は裏の世界にいる奴らにとっての犯罪者みたいな? うっかり足突っ込みすぎて捕まっちゃった」
臨也は楽しそうに語っている。
「で、なんでシズちゃんは俺を買ったわけ? なんか男とか抱くようなタイプに見えないんだけど。っていうかむしろ童貞っぽくない?」
作品名:【パラレル】静雄と臨也 作家名:さるたときを@けむ改名